私たち3人は、数十分、いや、1時間近く歩いただろうか。洞穴の中は、異常なほど寒く、宮本は早速ばて始めていた。行き止まりや回り道なども結構歩いたので、実質的に費やしたのは30分ほどだろうか。外は、先程から雨が降り出しているようだ。あるいはこの寒さも雨のせいかもしれない。この雨では、野犬狩りは明日に延期だなぁ、とジムは呟いた。が、その反響音の大きさとその言葉の意外さに、私は、とてつもない不安を感じた。ここで一夜を過ごすつもりか、と私は詰問した。ジムは、意外なほど落ち着いて、今山を下りればここでじっとしているよりも“何か起こる”という確率は高くなるんじゃないか、と言った。まるで微笑でも浮かべているような口調だ。私は、この洞穴に対してではなく、ジムの、リーダーとしてのポリシーに、より強い不安を感じ始めていた。
しかしこの場合、彼の意見がもっともであるということは、わざわざ彼の口から言われなくてもわかり切っていた。宮本は、こんな所で仲間割れをしないでほしいと言わんばかりに、心配そうに私たちを見つめ、そして、明日までここにいるつもりならそんなに急がないでどこかで休みましょう、と弱々しい声で、しかし思い切ったように言った。ジムは黙っていた。声や足音が反響する大きさで、いずれ一休みできる開けた場所に遭遇できるということを、ジムも私も、なんとなく感じていたからである。
おいっ!あれは何だ!そう叫んだのは、ジムであった。
(つづく)
しかしこの場合、彼の意見がもっともであるということは、わざわざ彼の口から言われなくてもわかり切っていた。宮本は、こんな所で仲間割れをしないでほしいと言わんばかりに、心配そうに私たちを見つめ、そして、明日までここにいるつもりならそんなに急がないでどこかで休みましょう、と弱々しい声で、しかし思い切ったように言った。ジムは黙っていた。声や足音が反響する大きさで、いずれ一休みできる開けた場所に遭遇できるということを、ジムも私も、なんとなく感じていたからである。
おいっ!あれは何だ!そう叫んだのは、ジムであった。
(つづく)