コピーライターの野田敦子さん、3年半前にご主人が脳内出血
で倒れ植物状態になった、大学2年でご主人と知り合い卒業後
すぐ結婚したため一人暮らしの経験がなかった、ご主人が倒れ
た直後ぼんやりと立ち寄った書店で老後をひとりで生きるため
のノウハウ本を手にしたのも不安だったからだ。
それでも生活は崩れなかった、食事はしっかり作りあと片付け
も手早くこれまで以上に規則正しく暮らした、そして案外ずっ
と一人だったかもしれないと思った、家事を繰り返すなかで一
人に慣れ少々の事では崩れない自分を作った、数十年に及ぶ家
事というルーテインワークは孤独に耐える訓練だった。
これは「献身と保身のはざまで」というタイトルで全国24紙
で連載された野田敦子さんのコラムの一節である、当時57歳、
ご主人が倒れ入院、そして植物状態という宣告、失意のどん底
のなかで自分を奮い立たせようとする強い覚悟が感じられる内
容、だからこそ介護に悩む多くの人からの反響があったことが
頷ける。