テレビでも放送されず、新聞メディアにも殆ど取り上げられなかった「WBAスーパーフライ級世界タイトルマッチ12回戦」が今日22日、東大阪市立総合体育館で行われた。
挑戦者で同級1位の名城信男がチャンピオンのマーティン・カスティーリョに10回1分2秒でTKO勝ちし、辰吉丈一郎と並んで日本ボクシング史上最短タイ記録となる、デビューから8戦目での世界王座奪取を果たした。
名城信男はその姓で判るとおり父親が沖縄出身なので、今回の試合のトレーニングにも沖縄で練習しており地元のテレビでは実況放送された。
世界タイトルマッチでもない亀田兄弟の試合が、あれほどテレビ等で騒がれるのに名城の世界チャンピオン奪取試合のテレビ実況放映が全国で沖縄だけだったのは淋しい。
なお、関東地方では7月29日の深夜4:15から録画放送が予定されているようだ。
1週間も待って亀田の世界戦(8月2日)の直前の録画、それも深夜の放映では白けるネ。
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ボクシング2006年07月22日 更新
名城、日本最短に並ぶ-デビュー8戦目で世界奪取
互角の展開が続いたが、10回にカスティーリョの左目上からの出血が激しくなり、主審が試合を止めた。名城の戦績は8戦全勝(5KO)。カスティーリョは5度目の防衛に失敗した。
日本のジムに所属する正規の現役世界王者は6人となり、日本ボクシングコミッションによると最多となった。
◆名城信男の話
「これを逃したら次があるか分からないと思っていた。カスティーリョみたいな強いチャンピオンに勝てたことに満足」
◆カスティーリョの話
「傷は何も感じなかったが、出血が多かった。試合を止めたレフェリーに不平はない。名城は勇敢だった。彼にふさわしい勝利だ」
【戦評】
名城が殊勲の星を挙げた。カウンターを再三浴びても前進し、左フックや右ストレートをクリーンヒットした。全体的に空振りは多かったが、強引にロープに詰めて打撃戦に巻き込み、王者を消耗させた。
8、9回はカスティーリョのスピードについていけず、はっきりと流れが相手に傾いていただけに、10回の突然のストップは幸運にも見えた。
■名城 信男(なしろ・のぶお)
奈良・奈良工高-近大とアマチュアで経験を積み、03年7月プロデビュー。04年8月、2度の世界戦経験がある本田秀伸に判定勝ち。昨年4月、田中聖二をTKOで破って日本スーパーフライ級王者となり、1度防衛した。スタミナと力強い連打で相手を圧倒する右ファイター。戦績は8戦全勝(5KO)。奈良市出身、24歳。
★恐れぬ名城前へ前へ-試練乗り越え、記録に並ぶ
幕切れは突然に訪れた。10回の1分すぎ、レフェリーが王者の左目上の傷が深刻と判断、試合を止めた。名城が少年時代「一番輝いていた」と言う辰吉が持つ日本最短記録に並んだ瞬間だ。勝ち名乗りを聞くと、喜びを爆発させた。
名城の勇気がカスティーリョの技術を上回った。試合開始から果敢に前に出る挑戦者。そこに落とし穴があった。チャンピオンの左フック一閃(いっせん)。ふらつく足取りでコーナーに戻ると、トレーナーが言った。「1ラウンドでよかったやん」。この一言で「気が楽になった」と名城。2回も恐れずに前進し、右ストレートで王者の左目の上を切り裂いた。
名城の圧力にカスティーリョが後退を繰り返す。右をもらい続け、傷口が広がる。9回の前にはレフェリーが王者陣営に「これ以上ひどくなったら試合を止める」と告げていた。
昨年4月の日本スーパーフライ級タイトルマッチで田中聖二(金沢)から王座を奪ったものの、試合後に田中が意識を失い、亡くなった。「何もしたくなかった」というほど落ち込んだ。それでもリングに帰ってきたのは「辞めるのは田中さんにあまりに失礼」という思いから。「僕にできるのはもっと強くなること」。試練を乗り越えた挑戦者が気迫でベルトをつかんだ。
★辰吉も独特のエール-記録に並び、がっちり握手
デビュー8戦目での快挙-。22日、東大阪市立総合体育館で行われたWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチで、名城信男(24)=六島=は10回TKO勝ちを収め、日本人の最短記録に並ぶ世界王座奪取を成し遂げた。勝利の瞬間、会場には「やったぞ!」「お見事」という歓喜の言葉があふれた。
「辰吉さんにあこがれてボクシングを始めた」という新王者。自己の持つ記録に並ばれた元世界バンタム級チャンピオン、辰吉丈一郎(36)=大阪帝拳=が試合後に控室を訪れると、名城は笑みを浮かべてがっちり握手した。
辰吉はテレビ解説を務め、リングサイドからエールを送った。「8戦目は中途半端。なぜ7戦目で挑戦しなかったのか」と周囲の笑いを誘った後、「気構えが違っていた。ガッツがある。打たれてもすぐ打ち返した」。常にアグレッシブさを失わなかった挑戦者の前向きな姿勢を大きな勝因に挙げた。
まだキャリアが浅い名城の将来性については「それは関係ない。強い者が勝つのではなく、勝った者が強いんだ」と独特の持論を展開した。
◆長谷川穂積(WBC世界バンタム級王者)の話
「気迫勝ち。1ラウンドでいいカウンターをもらったけれど、手を出して前に出続ける気持ちがよかった」
◆徳山昌守(WBC世界スーパーフライ級王者)の話
「技術じゃ勝てないけれど、持ち味の手数と根性がでた。もっとはやく止めるべきだった」
◆原田政彦・日本プロボクシング協会会長の話
「技術的には相手が上でも負けずに打ち合った。左ガードが低くなったところを狙っていた」
◆枝川孝・六島ジム会長の話
「名城本人が一番すごい。僕らは脇役やから。1ラウンドに名城がパンチをもらって、しっかりせなあかんのが分かってよかった」
★カスティーリョ、腫れ上がる左目上
王座から陥落したカスティーリョの左目の上は大きく腫れ上がっていた。2回にパンチを受けて出血。痛みはなかったそうだが、中盤以降は血が止まらなかった。左手薬指も序盤に痛めたという。
陣営によれば、10回の開始前にレフェリーからは、出血がひどくなったら試合を止めると警告されていたそうだ。カスティーリョは「これから力を出そうとしていたときだったが、レフェリーに不平はない。名城は勇敢だった」と淡々と話した。
★海外最短は3戦目
名城のデビュー8戦目での世界王座奪取は辰吉と並ぶ日本最短タイ記録。これに続くのは、WBAライトフライ級王者の具志堅用高とWBCミニマム級を制した井岡弘樹の9戦目。
海外での最短記録はWBCスーパーライト級王者、センサク・ムアンスリン(タイ)の3戦目。日本でもおなじみのウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)はWBAバンタム級王座を4戦目で奪っている。
★過去にも王者6人時代
日本ボクシング界には1994年と96年の一時期にも“世界王者6人”の時代があった。
だが、94年は辰吉丈一郎がWBCバンタム級の「暫定王者」だった。また、96年はルイシト小泉がWBCフェザー級王座を獲得したが、日本での滞在期間の短さから日本ボクシングコミッションはフィリピン選手との見解を出しており、正規王者が6人同時に在位するのは今回が初めてとなる。
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亀田興毅は8月2日に「世界戦」をするが相変わらずパフォーマンスは派手で今度は「世界一のリングアナ」の登場という。
出来たら亀田もチャンピオンになってもらって、将来は「名城ー亀田戦」でもやってくれたらボクシング人気もウナギのぼりなのだが。
今の亀田の人気はボクシング人気では無く、「亀田の個人人気」なので「亀田コケたら親亀田、弟亀田がコケル」。
ボクシングは同じ級にライバルがいると競い合ってお互いに強くなり、その結果ボクシング人気も盛り上がる。
話は古いがかつての原田、海老原、青木の「軽量級三羽烏」のように。
ちなみに原田、海老原はそれぞれ世界チャンピオンになっている。
名城、亀田、それに具志堅ジムの嘉陽を加えて「平成の軽量級三羽烏」も良いと思うがね。
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2006年07月22日 更新
【BOX】亀田興毅「世界戦」に世界一のリングアナ
プロボクシングの“浪速の闘拳”こと亀田興毅(19)=協栄=の世界獲りを、“世界一のリングアナウンサー”が華麗に彩る。8月2日の世界戦でのリングアナウンスを、米国の第一人者ジミー・レノンJr.氏が務めることが21日、明らかになった。
「イ~ッツ・ショータ~イム!」と有名なフレーズで場内を盛り上げる同氏の起用は、「オレの世界戦やったら世界一のリングアナにコールしてもらいたい」と亀田が希望。同氏が日本のリングでコールするのは、昨年9月25日のWBC世界バンタム級王者・長谷川穂積、WBAミニマム級王者・新井田豊のダブル防衛戦(横浜アリーナ)以来となる。
27日の予備検診は、ランダエタと対面しないように30分の時間差をおくことも正式に決まった。試合当日は亀田がキャラクターとなっている「レジ袋削減」のためのマイバッグが、来場者全員にプレゼントされる。
プロボクシング・WBA世界Lフライ級世界王座決定戦 (8月2日、横浜アリーナ) | ||||
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同 級 1 位 |
フアン・ランダエタ (ベネズエラ、27) 24戦20勝(16KO) 3敗1分 |
12 回 戦 |
亀田興毅 (協栄、19) 11戦11勝(10KO) |
同 級 2 位 |
★大毅は8・20現役チャンプと激突
亀田3兄弟の二男・大毅(17)が8月20日のプロ5戦目(横浜文化体育館)で対戦するウィド・パネス(24)=インドネシア=が、同国フライ級の現役王者であることが21日、分かった。入場券は2万円と5000円の2種類で、約3000枚の5000円席は「購入順にリングに近いいい席がとれる」(協栄ジム)“早い者勝ち”となっている。