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【沖縄時評】江崎 孝
翁長知事国連訴訟の真相
外務省によると国連の規定で演説が認められるのは(1)非理事国政府代表者(2)国際機関代表者(3)国連経済社会理事会に認められた協議資格を有するNGO-の3者に限定されているという。発言資格のない翁長氏は、(3)に相当するNGO「市民外交センター」に発言枠を譲り受けた。同センターは、琉球独立運動を展開している左翼系団体で、恵泉女学園大の植村英明教授が代表を務める。
産経新聞によると、民間団体「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」がNGOとの調整に動き、翁長氏の「国連演説」に関しては ては県側はほぼ蚊帳の外に置かれていたという。
翁長知事の演説後、沖縄県のホームページに「翁長知事の国連での口頭説明(訳)」という題名で、「知事国連演説」全文が公開されている。
≪【沖縄県の翁長雄志知事】は21日午後(日本時間22日未明)、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で名護市辺野古への米軍基地建設に反対する声明を発表した≫
注目すべきは主語が「沖縄県の翁長雄志」であり、県のHPに載っているという事実だ。これらを見た沖縄県民なら誰で「知事の公的発言」と解釈する。
また2015年11月11日付沖縄タイムスは「翁長知事の国連演説声明文、151カ国・地域大使へ送付」という見出しで 次のように報じてる。
≪沖縄県は10日までに、翁長雄志知事がスイス・ジュネーブの国連人権理事会で読み上げた声明文を、キャロライン・ケネディ駐日米大使ら151カ国・地域の駐日大使や名誉総領事宛てに送付した。≫
翁長知事の国連演説声明文を151カ国・地域大使へ送付したのは、紛れもなく沖縄県。当然、差出人は沖縄県知事である公文書である。記事によると沖縄県が「知事国連演説」全文を公文書として扱っていると報じたことになる。
さらに平成27年県議会第7回定例会では、国連人権理事会演説に関し、複数の県会議員らから多くの質問が飛んだ。その中で、知事の発言資格に言及するものは皆無であった。こうした事実から、一般県民である原告らが、国連総会で決められた国連人権理事会の発言資格に関するルールについて知らなかったことを責めることはできない。
産経新聞の記事を見て即座に住民監査請求が行われたが、所定の期間を守れなかったことについては、判例の「正当な理由」があり、かつ、「相当な期間」内に提訴されたことに該当する。つまり「違法性を気付いてから1年以内」の住民監査請求及び提訴は認められることになる。
翻訳詐欺で県民瞞着
もう一つの争点、国連演説の内容が知事の職務として認められるかどうかについて考えてみる。
翁長知事は国連演説で「our right to self-determination」 という言葉を二度使い、沖縄2紙はこれをまるで申し合わせたように「自己決定権をないがしろにされた」と翻訳した。しかし、これは明らかな誤訳であり、正しくは「民族自決権をないがしろにされた」と訳すべきである。
発言場所が国連であることを考えれば、正確には「民族自決権」と訳されるのが普通で、国際社会では琉球民族が独立を提起したと誤認される恐れがある。沖縄県民は翁長知事に「琉球民族の独立」を委任した覚えはないはずであり、沖縄2紙の単なる誤訳で済まされる問題ではない。
結論的には、「時効」については「違法性を気付いてから1年以内」であるため原告の請求は認められる。
もう一つの争点の「演説資格」については、県知事の公務としての権限逸脱行為であり、翁長知事の個人的イデオロギーの主張にすぎない。
国連演説での翁長氏の身分はNGOの一員にすぎず、費用はNGOが負担するか、個人で賄うべきだ。また演説内容に関して「沖縄独立」志向の演説内容も日本国民の歴史的民族学的見地とは相容れない。 翁長知事は民間団体の国際世論工作に県民の血税で加担し、結果的にNGOに公金を横流したことになる。
翁長知事は沖縄県、沖縄2紙そしてNGОの4者による共同謀議により「翻訳詐欺で県民を瞞着した」と厳しく断罪されても仕方がない。(コラムニスト)
【おまけ】
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