沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県は17日、国土交通相が埋め立て承認撤回を取り消した裁決を「国の違法な関与」とし、裁決の取り消しを求める訴訟を福岡高裁那覇支部に提起した。玉城デニー知事は沖縄防衛局の求めに応じて国交相が撤回取り消しを裁決したことは「辺野古埋め立てを進める政府の機関による自作自演だ」などとして違法性を指摘している。辺野古を巡る県と国の訴訟は7度目。

(資料写真)埋め立ての工事が進む名護市・辺野古沖

 県は総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に裁決を不服として審査を求めたが却下。県は係争委の却下を不服として訴訟を提起した。新たな訴訟は地方自治法に基づき、国交相の裁決を国の違法な関与として取り消しを求める。

 県の主な主張は(1)行審法は国民の権利を救済をするための法律で、一般私人と異なる防衛局が国交相に審査を請求したのは違法(2)撤回は前知事の死去を受けて副知事が決定しており、仮に行審法で審査を請求するならば、請求先は国交相ではなく副知事の最上級庁である県知事となる(3)防衛局と国交相は政府の機関同士であり審査請求制度を乱用している-の3点。

 玉城知事は17日に県庁で会見し、国の違法な関与があったため訴訟を提起したと述べると同時に「対話によって解決策を求めていく民主主義の姿勢を政府に対して強く求めていきたい」と対話を重視する従来の考えを重ねて示した。

 県は辺野古を巡る別の「抗告訴訟」も検討。行政事件訴訟法によって権力に対する不服を主張し、国交相の裁決の取り消しを求める考えで、7月中にも那覇地裁に訴えを提起する。

訴えの骨子
・一般私人と異なる沖 縄防衛局が国交相に 審査を請求したのは 違法
・撤回の決定は副知事 がした。仮に行審法 で審査請求するなら ば、請求先は国交相 ではなく県知事とな る
・沖縄防衛局と国交相 は政府の機関同士で あり審査請求制度を 乱用している