(1998年5月の出来事)
テレビ東京が、1950~60年代に乱造されたチープなホラーやSF映画を深夜に連続放映している。もともと、子供の頃にテレビでこうした映画の洗礼を受けているこちらとしては、懐かしさとバカバカさが相まった妙な気分で眺めているのだが、これが意外に楽しい。確かに、今の高度に発達したSFXから見れば失笑ものなのだが、そこにティム・バートンが『エド・ウッド』(94)で描いたような、手作りの温もりと低予算の悲しさが感じられるのもまた事実なのだ。
『金星怪人ゾンタ―の襲撃』(66)
『金星人地球を征服』(56)をリメーク。金星に似た環境の火山の洞窟に姿を隠した金星人ゾンターは、毒針を持つ鳥型の怪物を使って人間を襲う。襲われた人間は、ゾンターのしもべとなってしまうのだ。
これぞチープなSF映画の見本といった感じがするBOMB作品。出てくる怪人は明らかに張りぼてだし、ストーリーもめちゃくちゃ。ところが俳優たちは結構真面目に演技をしているから、そのギャップたるやまるでコメディなのだ。いやはや楽しい。
『人間人形の逆襲』(58)
人形店を経営するマッドサイエンティストは、若い男女を人形サイズに縮小し、円筒形の透明なケースの中に入れて収集し、操り人形を相手にした人形芝居を演じさせる。
これは意外な拾い物。かの『巨人獣=プルトニウム人間』(57)で人間を巨大化させたバート・I・ゴードンが、ここでは一転して、人間を縮小させるという力技を発揮しているが、東欧移民と思われるマッドサイエンティストの悲哀や、人形と化した彼らが意外に楽しそうに過ごしている皮肉など、結構真面目に撮っている。
『性本能と原爆戦』(62)
監督兼主演はレイ・ミランド。こうした映画の仲間に入れるのは少々気の毒な気もする、最終戦争後を描いたシリアス劇だが、やはりアメリカ人の核に対する無知ぶりが露わに出ており、思わず「おいおいちょっと待てよ」とちゃちゃを入れたくなった。もっとも、近作のジェームズ・キャメロンの『トゥルーライズ』(94)がいまだに核に対する無知ぶりを示していたことを思えば、古いこの映画を今の視点からけなすのもどうかとは思うが…。
それにしても、公開当時は大蔵映画が配給したからとはいえ、この邦題はむちゃだ。当時、邦題からスケベ心を刺激されて見にいって、愕然としたであろう先輩方に同情する。
名画投球術 No6.「史上最低の映画が観たい」エド・ウッド
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b40c5279fdf888b972e7dcdae4743957
テレビ東京が、1950~60年代に乱造されたチープなホラーやSF映画を深夜に連続放映している。もともと、子供の頃にテレビでこうした映画の洗礼を受けているこちらとしては、懐かしさとバカバカさが相まった妙な気分で眺めているのだが、これが意外に楽しい。確かに、今の高度に発達したSFXから見れば失笑ものなのだが、そこにティム・バートンが『エド・ウッド』(94)で描いたような、手作りの温もりと低予算の悲しさが感じられるのもまた事実なのだ。
『金星怪人ゾンタ―の襲撃』(66)
『金星人地球を征服』(56)をリメーク。金星に似た環境の火山の洞窟に姿を隠した金星人ゾンターは、毒針を持つ鳥型の怪物を使って人間を襲う。襲われた人間は、ゾンターのしもべとなってしまうのだ。
これぞチープなSF映画の見本といった感じがするBOMB作品。出てくる怪人は明らかに張りぼてだし、ストーリーもめちゃくちゃ。ところが俳優たちは結構真面目に演技をしているから、そのギャップたるやまるでコメディなのだ。いやはや楽しい。
『人間人形の逆襲』(58)
人形店を経営するマッドサイエンティストは、若い男女を人形サイズに縮小し、円筒形の透明なケースの中に入れて収集し、操り人形を相手にした人形芝居を演じさせる。
これは意外な拾い物。かの『巨人獣=プルトニウム人間』(57)で人間を巨大化させたバート・I・ゴードンが、ここでは一転して、人間を縮小させるという力技を発揮しているが、東欧移民と思われるマッドサイエンティストの悲哀や、人形と化した彼らが意外に楽しそうに過ごしている皮肉など、結構真面目に撮っている。
『性本能と原爆戦』(62)
監督兼主演はレイ・ミランド。こうした映画の仲間に入れるのは少々気の毒な気もする、最終戦争後を描いたシリアス劇だが、やはりアメリカ人の核に対する無知ぶりが露わに出ており、思わず「おいおいちょっと待てよ」とちゃちゃを入れたくなった。もっとも、近作のジェームズ・キャメロンの『トゥルーライズ』(94)がいまだに核に対する無知ぶりを示していたことを思えば、古いこの映画を今の視点からけなすのもどうかとは思うが…。
それにしても、公開当時は大蔵映画が配給したからとはいえ、この邦題はむちゃだ。当時、邦題からスケベ心を刺激されて見にいって、愕然としたであろう先輩方に同情する。
名画投球術 No6.「史上最低の映画が観たい」エド・ウッド
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b40c5279fdf888b972e7dcdae4743957