米ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレン(エバン・ピーターズ)とスペンサー(バリー・コーガン)は、自分たちが普通の大人になりかけていることにいら立ちを感じていた。そんな中、2人は大学図書館に保管されたオーデュポンのビンテージ画集を強奪することを思いつき、新たに2人の友人を仲間に引き込む。
自分は普通とは違うと思い込み、それを証明するための何か“でかいこと”を探す若者たちが、犯罪映画を参考にしながら犯罪計画を立てたという、甘いと言えば甘過ぎる、あほと言えばあほ過ぎる、実際にあった強盗事件の顛末を描く。
監督・脚本はこれが監督デビュー作のバート・レイトン。もとはドキュメンタリーの映像作家ということで、実際の犯人たちが劇中に登場して証言をするという、劇映画とドキュメンタリーを融合させた手法で見せる。そうすることで、本人と演じている俳優たちがオーバーラップする面白さ、あるいは、証言の食い違いによって、一つの出来事を異なる視点で見せる面白さが生まれたが、では劇映画とドキュメンタリーの境界とは何なのかを考えさせられるところもある。
ちなみに、劇中、棚に並んだDVDのタイトルで示された彼らが参考にした映画は、『ミニミニ大作戦』(69・03)『華麗なる賭け』(68)『スナッチ』(00)『ユージュアル・サスペクツ』(95)『ハートブルー』(91)『ゲッタウェイ』(72・94)『明日に向って撃て!』(69)『スティング』(73)『男の争い』(55)『タイム・トゥ・ラン』(15)『マッチスティック・メン』(03)『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』(81)『レザボア・ドッグス』(91)。そして映像が映るのがキューブリックの『現金に体を張れ』(56)だった。なかなか興味深いラインアップだ。