『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を監督したマイケル・ドハティは『X-MEN2』(03)や『スーパーマン リターンズ』(06)の脚本も書いていた。後者はDCコミックスのジャスティス・リーグ以前に製作され、シリーズ化とはならなかった幻のスーパーマン映画。公開時はいかにも監督のブライアン・シンガーらしい映画だと思ったが、今回、過去作への懐古やオマージュに満ちた『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を見て、意外にドハティの好みが反映されていたのかもしれないと思った。
『スーパーマン リターンズ』(06)(2006.9.13.丸の内ピカデリー)
まず、あの印象的なタイトルバックにジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲が流れてくるとやはり心が躍る。そしてブライアン・シンガーがインタビューに答えていた通り、例えば、アーカイブを利用したマーロン・ブランドの登場、グレン・フォードの写真、そしてエンドロールでのクリストファー・リーブ夫妻への献辞。何よりブランドン・ラウスが嫌味なくリーブをほうふつとさせるなど、全編にリチャード・ドナー版『スーパーマン』(77)への憧憬があふれていた。
さらに「ハート・アンド・ソウル」のピアノ演奏で『ビッグ』(88)を、弱ったヒーローが自分の子どもの存在を知って復活する姿から『ナチュラル』(84)を思い起こさせる“遊び心”にも好感が持てた。
とはいえ、これはあくまでリチャード・ドナー版に思い入れがあるノスタルジー派の感慨で、新たな観客たちの心にはどう響いたのだろうか。まあ決して魅力的ではないロイス・レイン(ケイト・ボズワース)に惚れ、ドジな悪党レックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)に何故かいつも足元をすくわれるところがスーパーマンの不完全さを示していて面白いのだが。
ただしシンガーの演出は『X-メン』シリーズ同様、テンポが速そうで遅いのが弱点で、全体のトーンも暗い。もっともこの暗さはシンガー本人の資質もあろうが、やはりアメリカが9.11同時多発テロを経験してしまったことと無関係ではあるまい。スーパーマンが間一髪で人を救えば救うほど、貿易センタービルの崩壊という現実がオーバーラップしてくるのは残念ながら否めない。そして“正義”が混沌とする今のアメリカでのスーパーマンの存在はどこか空しくもあるからだ。結局スーパーマンはもはやノスタルジーでしかないのか…。
『スーパーマン リターンズ』(06)(2006.9.13.丸の内ピカデリー)
まず、あの印象的なタイトルバックにジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲が流れてくるとやはり心が躍る。そしてブライアン・シンガーがインタビューに答えていた通り、例えば、アーカイブを利用したマーロン・ブランドの登場、グレン・フォードの写真、そしてエンドロールでのクリストファー・リーブ夫妻への献辞。何よりブランドン・ラウスが嫌味なくリーブをほうふつとさせるなど、全編にリチャード・ドナー版『スーパーマン』(77)への憧憬があふれていた。
さらに「ハート・アンド・ソウル」のピアノ演奏で『ビッグ』(88)を、弱ったヒーローが自分の子どもの存在を知って復活する姿から『ナチュラル』(84)を思い起こさせる“遊び心”にも好感が持てた。
とはいえ、これはあくまでリチャード・ドナー版に思い入れがあるノスタルジー派の感慨で、新たな観客たちの心にはどう響いたのだろうか。まあ決して魅力的ではないロイス・レイン(ケイト・ボズワース)に惚れ、ドジな悪党レックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)に何故かいつも足元をすくわれるところがスーパーマンの不完全さを示していて面白いのだが。
ただしシンガーの演出は『X-メン』シリーズ同様、テンポが速そうで遅いのが弱点で、全体のトーンも暗い。もっともこの暗さはシンガー本人の資質もあろうが、やはりアメリカが9.11同時多発テロを経験してしまったことと無関係ではあるまい。スーパーマンが間一髪で人を救えば救うほど、貿易センタービルの崩壊という現実がオーバーラップしてくるのは残念ながら否めない。そして“正義”が混沌とする今のアメリカでのスーパーマンの存在はどこか空しくもあるからだ。結局スーパーマンはもはやノスタルジーでしかないのか…。