『張り込み』(87)(1991.6.29.)
シアトル市警のクリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステベス)は、脱獄犯の元恋人マリア(マデリーン・ストウ)の家を、24時間態勢で監視することになる。
“のぞき”を扱ったヒッチコックの『裏窓』(54)のパクリは、ブライアン・デ・パルマの『ボディ・ダブル』(84)が代表格だが、この映画やバート・レイノルズの『シャーキーズ・マシーン』(81)のように、刑事の張り込みに利用するという手もあった。ただ、本家『裏窓』の“偶然ののぞき”と、張り込みという“必然ののぞき”は違うので、そちらはほどほどにして、張り込み先の美女と刑事の恋という設定を加えて、見る側の興味を引かなければならない。その点、『シャーキーズ・マシーン』はレイチェル・ウォード、この映画はストウの魅力に負うところが大きい。
監督のジョン・バダムは、このところ軽いタッチの快作を連発しているだけあって、この映画も肩の凝らないアクションコメディとして面白く仕上げている。どんな映画でも2割8分は打てるしたたかな職人監督になってきたようだ。
もう一つ、この映画を面白くしているのはドレイファスの味のある演技である。もはや全盛期には戻れないにしても、一時のスランプを思えば、徐々に復活の兆しを見せ始めているのは喜ばしい。