田中雄二の「映画の王様」

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【ほぼ週刊映画コラム】『ある町の高い煙突』

2019-06-22 16:34:56 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

現代にも通じる、知られざる歴史を描いた
『ある町の高い煙突』

 

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https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1192398

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『暴行』

2019-06-22 14:43:47 | 映画いろいろ
『暴行』(64)(2008.4.18.)
 
 
 南北戦争後の西部の炭鉱町。鉄道の駅で牧師とペテン師と炭鉱業者が昨日あった裁判について語り合っていた。それはメキシコ人の盗賊が旅の夫婦を襲った事件で、妻は暴行され、夫は殺された。だが彼らの陳述は食い違い、ペテン師は「人間はみんな嘘つきだ」と言い、牧師は人間不信に陥る。 

 黒澤明監督の『羅生門』(50)のリメーク版。黒澤と橋本忍の脚本を基に、マイケルとフェイのケニン夫妻が舞台劇として脚色。それをマイケルが映画用にシナリオ化し、時代と舞台を1870年代の南北戦争後の西部に置き換えたが、これはこれで面白かった。要は人間の営みは国が違ってもあまり変わらないということか。

 それぞれを『羅生門』に当てはめると、ポール・ニューマン(三船敏郎)、ローレンス・ハーベー(森雅之)、クレア・ブルーム(京マチ子)、エドワード・G・ロビンソン(上田吉二郎)、ウィリアム・シャトナー(千秋実)、ハワード・ダ・シルバ(志村喬)、監督マーティン・リット(黒澤明)、脚本マイケル・ケニン(橋本忍)、撮影ジェームズ・ウォン・ハウ(宮川一夫)ということになる。両作で大きく違うのは音楽で、早坂文雄のボレロ調とアレックス・ノースの甘美なメロディーは全くの別物だった。

 当初、ニューマンは『羅生門』で三船が演じ、舞台版でロッド・スタイガーが演じた盗賊役に対して乗り気ではなかったが、マーロン・ブランドが映画版の脚本を気に入って、やる気を示したことを聞いて引き受けたという。そして気心の知れたリット監督のもと、茶色のコンタクトレンズと黒いかつらを付け、さらに凝ったメークとひげ面でメキシコ人の盗賊に変身して熱演を見せた。ニューマンは本作を「お気に入りの1本」に挙げるが、興行的には失敗した。

 

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