https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6479aefb9806925cdcd8a354a58538b3
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6479aefb9806925cdcd8a354a58538b3
『アビエイター』(04)(2006.3.5.)
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)に続く、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演作。伝説の大富豪、破天荒な映画プロデューサー、飛行機狂として知られ、変人と呼ばれたハワード・ヒューズの伝記映画『アビエイター』をWOWOWで見る。
今回の主役のヒューズは実在の人物であり、しかもエピソードも豊富だが、やはりスコセッシの語りは分裂症気味で、ストーリー展開に難がある。彼にこの題材は合わなかったと思うし、またもやディカプリオの演技過多を見せられると、このコンビは互いにあまりいい影響を与えていない気がする。
もっとも、この映画は主人公のヒューズはもちろん、彼とかかわりがあったキャサリン・ヘプバーン(ケイト・ブランシェット)も、エバ・ガードナー(ケイト・ベッキンセイル)も、エロール・フリン(ジュード・ロウ)も亡くなった今だからこそできたものだとは思う。
公聴会のシーン(上院議員役のアラン・アルダがうまい)はコッポラの『タッカー』(88)を、ラストシーンはオーソン・ウェルズの『市民ケ-ン』(41)の“ローズバット=薔薇のつぼみ”を想起させるあたりに、かろうじて映画狂スコセッシのこだわりが残っていた気がした。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)(2005.3.28.)
19世紀のニューヨーク。マンハッタンの一角ファイブ・ポインツを舞台に、アメリカ生まれの“ネイティブ・アメリカンズ”とアイルランド移民の“デッド・ラビッツ”というギャング同士の抗争と人間ドラマを描く。監督はニューヨーク出身のマーティン・スコセッシ。
題材の良さや、スコセッシ自身の故郷への思い入れの強さに比して、またも彼のストーリーテリングのまずさ(例えば『エイジ・オブ・イノセンス』(93)のような)が示され、脂っこいバイオレンス(例えば『グッドフェローズ』(90)のような)が描かれる。こうしたパターンはもはや変わらないのだろうか。
この、いつもの“違和感スコセッシ”と、彼と組むとどんどん悪い方に変わっていく感があるレオナルド・ディカプリオのコンビ映画は、必然的にグロテスクなものになる。この映画の場合は、ダニエル・デイ・ルイスの存在が救いではあるのだが…。だから、2人が再び組んだハワード・ヒューズ伝『アビエイター』(04)もあまり見たくない気がするのだ。