『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)(2014.2.11.MOVIX亀有)
1980~90年代に、26歳の若さで証券会社を設立し、年収4900万ドルを稼ぎ出し、“ウォール街の狼”と呼ばれたジョーダン・ベルフォートの半生を、実話を基に映画化。マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの5度目の顔合わせとなったこの映画は、主人公ジョーダンの成功、放蕩三昧の日々、そして破滅をパワフルに描く一種のピカレスク(悪漢)ロマンであり、カリカチュアコメディでもある。
いつもはストーリーに破たんをきたすスコセッシにしては上出来の、畳みかけるようなテンポのいい流れで、3時間を全く長く感じさせない。脚本のテレンス・ウィンター、編集のセルマ・スクーンメイカー、衣装のサンディ・パウエルといったスタッフも、実にいい仕事をしている。
また、役者冥利に尽きるような役を得たディカプリオの熱演に加えて、相棒役のジョナ・ヒル、上司役のマシュー・マコノヒー、父親役のロブ・ライナー、FBI捜査官役のカイル・チャンドラー、弁護士役のジョン・ファブロー、銀行家役のジャン・デュジャルダン、妻役のクリスティン・ミリオティとマーゴット・ロビーといった多彩なキャストがそれぞれ好演を見せる。これまでのスコセッシとディカプリオの4本のコンビ映画は必ずしも成功していないと思ったが、この映画でようやく結実した感がある。
ところで、大昔にジョージ・バンクロフト主演の『ウォール街の狼』(29)という同名の映画があり、その主人公の名前はジム・ブラッドフォードだそうだ。この映画のジョーダン・ベルフォートとどこか似ている。これは面白い偶然だとスコセッシが言っていた。