田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

2019-06-26 14:15:54 | 映画いろいろ
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)(2014.2.11.MOVIX亀有)

  

 1980~90年代に、26歳の若さで証券会社を設立し、年収4900万ドルを稼ぎ出し、“ウォール街の狼”と呼ばれたジョーダン・ベルフォートの半生を、実話を基に映画化。マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの5度目の顔合わせとなったこの映画は、主人公ジョーダンの成功、放蕩三昧の日々、そして破滅をパワフルに描く一種のピカレスク(悪漢)ロマンであり、カリカチュアコメディでもある。
 
 いつもはストーリーに破たんをきたすスコセッシにしては上出来の、畳みかけるようなテンポのいい流れで、3時間を全く長く感じさせない。脚本のテレンス・ウィンター、編集のセルマ・スクーンメイカー、衣装のサンディ・パウエルといったスタッフも、実にいい仕事をしている。
 
 また、役者冥利に尽きるような役を得たディカプリオの熱演に加えて、相棒役のジョナ・ヒル、上司役のマシュー・マコノヒー、父親役のロブ・ライナー、FBI捜査官役のカイル・チャンドラー、弁護士役のジョン・ファブロー、銀行家役のジャン・デュジャルダン、妻役のクリスティン・ミリオティとマーゴット・ロビーといった多彩なキャストがそれぞれ好演を見せる。これまでのスコセッシとディカプリオの4本のコンビ映画は必ずしも成功していないと思ったが、この映画でようやく結実した感がある。
 
 ところで、大昔にジョージ・バンクロフト主演の『ウォール街の狼』(29)という同名の映画があり、その主人公の名前はジム・ブラッドフォードだそうだ。この映画のジョーダン・ベルフォートとどこか似ている。これは面白い偶然だとスコセッシが言っていた。
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ディカプリオとスコセッシ

2019-06-26 12:50:40 | 映画いろいろ
   
 
 『ギャング・オブ・ニューヨーク』(01)『アビエイター』(04)『ディパーテッド』(06)に続くマーティン・スコセッシ監督との4度目のコンビ作『シャッターアイランド』(10)のPRのために来日(2010.3.12.)したレオナルド・ディカプリオ。
 
 オレは、どれも必ずしも成功しているとは思えないのだが、ディカプリオは心底スコセッシを信頼し、大きな影響を受けているようだ。この時の会見でも圧倒的にスコセッシに関する話が多かった。以下、印象に残ったコメントを。
 
 「スコセッシは俳優をパートナーとして扱う。これはロバート・デ・ニーロとの関係で培われたものだと思う。特に『タクシードライバー』(76)『キング・オブ・コメディ』(83)のようにダークサイドを描くのがうまいと思う」
 
 「スコセッシは撮影が始まる前に参考になる映画を何本も見せてくれる。昔の映画からはその時代の香りが漂ってくる。そこからテンポやトーンを学ぶ。『アビエイター』の時はハワード・ホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』(40)だった」
 
 「今回は、愛する人を失った男が主人公ということで、『ローラ殺人事件』(44)(オットー・プレミンジャー、ダナ・アンドリュース)、『過去を逃れて』(47)(ジャック・ターナー、ロバート・ミッチャム)、『めまい』(58)(アルフレッド・ヒッチコック、ジェームス・スチュアート)だった。特に『めまい』は、幻想なのか、現実にいるのか分からない女を探っていくという点で、とても参考になった。今回のスコセッシは、ヒッチコック的な映画を狙っていた」
 
 こういう話を聞くと、さすがは映画マニアのスコセッシという感じがするが、そのスコセッシは、監督作『ヒューゴの不思議な発明』(11)のPRのために来日(2012.2.16.)した際にこんなことを語っていた。
 
 「子供の頃、父と一緒に、ビリー・ワイルダー、ジョージ・スティーブンスなど、たくさんの素晴らしい映画を見た。特に西部劇に夢中だった。なぜなら、私が喘息のせいで禁じられていた、荒野、山、馬、犬、カウボーイがそこに全てあったからだ」
 
 そんな2人の共同作業は『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)へと続く。
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『SCREEN』「カリコレ2019」

2019-06-26 07:46:22 | SCREEN スクリーン
『SCREEN(スクリーン)』2019年8月号に「カリコレ2019」の紹介記事掲載。
表紙は『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。
 
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『トイ・ストーリー』

2019-06-26 05:58:49 | 映画いろいろ
『トイ・ストーリー』(95)(2006.5.5.WOWOW)
 
  
 
 子供の日にWOWOWで『トイ・ストーリー』を見る。正直なところCGアニメは一般の映画とは別物だと思うのだが、その元祖であるこの映画は例外で、何度見ても面白い。おもちゃを擬人化したストーリーのベースは、多分アンデルセンの『すず(鉛)の兵隊』で、持ち主の子どもと健気なおもちゃの関係がちょっと切なく描かれる。
 
 ウッディ(声:トム・ハンクス)とバズ・ライトイヤー(声:ティム・アレン)はもとより、ほかのキャラクターもなかなか個性的で面白いし、ランディ・ニューマンの音楽もいい。ただ、欧米のこうしたキャラクターにはグロテスクな面もあって手放しでは入り込めないところがある。そして、こうした映画でも片親の家族が描かれるところにアメリカのトラウマが反映されていると思うのはうがち過ぎだろうか。
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