「ザ・シネマ」日曜朝の西部劇特集。昨日は『追跡者』(71)だった。
牧場主のブロンソン(リー・J・コッブ)の手下が、町で酔って老人を殺害する。犯人の引き渡しを要求するため、保安官のマドックス(バート・ランカスター)は、隣町にやって来る。だが、この町の保安官のライアン(ロバート・ライアン)は穏健派で、事を穏便に処理しようとするが、法の順守を主張するマドックスはこれを拒否。ブロンソン一味との対立が深まる。
法を守るためなら平気で相手を撃ち、「後家づくり」の異名を持つ、冷徹で融通が利かないマドックス、穏健派のライアン、悪事を働いた手下をかばうブロンソンの対立を通して、正義とは? 法とは?を問い掛ける、1970年代初頭、ニューシネマの時代らしい、重苦しい雰囲気とテーマを持った異色西部劇。原題は「Lawman」。
監督マイケル・ウィナー、脚本ジェラルド・ウィルソンのイギリス人コンビは、チャールズ・ブロンソン主演の『チャトズ・ランド』(72)や『狼よさらば』(74)でも、暴力(銃)の連鎖や、正義や法に対する疑問を描いている。また、保安官の在り方や、保安官を排除しようとする町の自警団という点では、『街中の拳銃に狙われる男』(55)や『ワーロック』(59)とも通じるところもあるが、後味の悪さではこの映画が群を抜く。
牧場主の手下役で、ロバート・デュバル、アルバート・サルミ、リチャード・ジョーダン、ジョン・ベック、ラルフ・ウエイト、ウィリアム・ワトソン、J・D・キャノン、町の住人役でチャールズ・タイナー、ジョン・マクギバーと、“70年代脇役天国”の住人たちが多数登場するのも見どころ。
そういえば、マドックスのかつての恋人役を演じたシェリー・ノースは、ジョン・ウェインの遺作となった『ラスト・シューティスト』(76)でも、同じような役を演じていたっけ。