田中雄二の「映画の王様」

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田中邦衛 『学校』のイノさんか「北の国から」の黒板五郎

2021-04-03 10:14:08 | 映画いろいろ

 母の死と時を同じくして、田中邦衛の訃報が流れた。演技のくささを個性にまで昇華させた希有な俳優の一人だ。

 『若大将』シリーズ(61~)のライバル青大将の石山のほか、『網走番外地』(65~)『仁義なき戦い』(73~)など、いわゆるシリーズ物での活躍、あるいは『冬の華』(78)『居酒屋兆治』(83)といった高倉健との共演作、ほかにも、黒澤明、岡本喜八、山田洋次監督作などで印象深い演技を披露した。

 個人的に好きなのは、『悪い奴ほどよく眠る』(60)セリフのない殺し屋、『男はつらいよ 奮闘篇』(71)の地方の教師、『ダイナマイトどんどん』(78)の酒仙投手・芦刈の作蔵、『息子』(91)のタキさん、『学校』(93)のイノさん、そして、テレビドラマ「北の国から」(81~)の黒板五郎、「砂の器」(91)の今西刑事…。

 番外では、『ルパン三世念力珍作戦』(74)の次元大介、『金田一耕助の冒険』(79)の等々力警部、そして『みんなのいえ』(01)の大工の棟梁なども忘れ難い。

 でも、これ一本となると、やはり『学校』のイノさんか「北の国から」の黒板五郎になるのだろうか。

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母の『お葬式』

2021-04-03 10:13:31 | 映画いろいろ

 先日、母が亡くなった。コロナ禍ということもあり、葬儀は簡単なもので済ませたのだが、それでも葬儀社の手配など、初めてのことが多く、悲しむ間もなく、雑事に追われた。

 やっかいだけど、切るに切れない家族の存在は、年を取るほど重くなる。山田洋次監督が『東京家族』(13)の時に、「家族って、やっかいだけど、いとおしい」と語っていたが、なかなかそうした心境にはなれない。

 そんな中、「何だか伊丹十三の『お葬式』(84)みたいだ」とつぶやくもう一人の自分がいた。本当の悲しみは、落ち着いた時に訪れるのかもしれない。そう言えば、昔、両親にこの映画のチケットを買ってやって喜ばれたことを思い出した。

 母は特に映画好きというわけではなかったが、珍しくテレビで一緒に見た、フランク・キャプラ監督の『ポケット一杯の幸福』(61)のことを「いい映画だったね」としみじみ言っていたことを覚えている。

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