田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「父系の指」

2021-04-04 23:37:13 | テレビ

「父系の指」(1995.1.16.月曜ドラマスペシャル)

 作家として大成した松本清張(長塚京三)の回想という形で、「父系の指」などの私小説を基にして、清張文学の原風景に迫る。親類から「おまえの指の格好は親父そっくりじゃ」と言われた幼き清張は、両親への思慕と、近親憎悪が入り交じった複雑な感情を抱くようになる。

 この初期の自伝的な短編の中に、後の清張作品の根幹を成す、貧しさ故の悲しみ、ひがみ、歪み、逆恨み、血のつながりがもたらす罪といったもののルーツが垣間見える。そして、後に書かれた推理物における犯罪の動機の多くがこれらに起因する。

 今の時代にこうしたドラマを改めて見せられると、貧しさや苦労が人を成長させ、強くするなどという言葉は、それを経験していない者の勝手な言い分だと思えてくるし、例え、それをバネにして出世したとしても、その奥にある歪みや屈折は決して消えない気がする。

 清張の小説が多くの読者を得たのは、こうした悲しき習性が切なく迫ってきて、それに同感したり、琴線に触れたりしたからだろう。

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松本清張原作のドラマを2本「微笑の儀式」「風の息」

2021-04-04 20:45:10 | テレビ

「微笑の儀式」(1995.3.7.火曜サスペンス劇場)
監督・長尾啓司、脚色・金子成人、撮影・羽方義昌、音楽・佐藤允彦

 上野・不忍池のほとりで若い女性の死体が発見された。法医学者の鳥沢(役所広司)は、女性が持っていた似顔絵を見て、36年前に美術界を追放された彫刻家の新井(内藤剛志)と「古拙の笑い」のことを思い出した。昭和33年、新井はまるで生きているかのような女性像を造り、高い評価を得た。だが、鳥沢は、像とそっくりの女性が変死したことを聞き、新井が女性を殺してデスマスクを取り、像を完成させたのではないかと推測したが…。

 松本清張の短編を映像化したものは概して出来がいい。その理由の根底には、もちろん原作の面白さがあるのだが、短編を映像化するには、その先の“何か”を描かなければ、2時間前後のドラマとしては成立しない。

 それ故、原作ではそれほど重要視していない部分を浮かび上がらせたり、ドラマ独自のエピソードを加えたりした結果、原作以上のものになることもあるのだ。映画版の『砂の器』(74)『天城越え』(83)も、その中に入るだろう。

 今回も、原作の時代設定を変え、2人の主人公を同世代とすることで、原作では曖昧だった2人の奇妙な友情が浮上し、戦争の暗い影を感じさせることにも成功していた。

 ただ、先の「父系の指」もこのドラマも、清張の死後に作られたことで評価は分かれるかもしれない。つまり、もし清張の目が光っていたら、その描き方は違うと言われても仕方がないほどの大胆な改変こそが、これらのドラマの真骨頂でもあるからだ。

 役所と内藤が、それぞれ若き日と老年を巧みに演じ分けていて、なかなか良かった。

「松本清張の風の息 事故か!謀略か!もく星号三原山墜落の謎」(1982.4.10.土曜ワイド劇場) 
監督・貞永方久、脚色・新藤兼人、音楽・菅野光亮

 米軍占領下の1952年、羽田を飛び立った「もく星号」が大島三原山火口付近に墜落した。事故から13年後、地質学を専攻する欣一(根津甚八)は、三原山のもく星号遭難碑付近でブローチを発掘。唯一の女性客だった八重子(関根恵子)の遺品らしい。知人と調査を始めた欣一の前に、同じくもく星号事件を追い続ける女・佐紀子(栗原小巻)が現れる。執拗に事故の原因を探る男と女の前に立ちふさがる巨大な敵とは?

 清張お得意の米軍謀略説にのっとった社会派ミステリー。多少強引なところもあるが、ミステリーとしては十分に面白い。

 

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「BSシネマ」『セーラー服と機関銃』

2021-04-04 07:39:15 | ブラウン管の映画館

『セーラー服と機関銃』(81)

薬師丸ひろ子のために作られた映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d93fa41c88a0baaa1989f62dc098d723

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