「第93回アカデミー賞」授賞式
『ノマドランド』が、作品、監督、主演女優賞を受賞
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1271990
【ほぼ週刊映画コラム】『ノマドランド』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/242c238f8e12acd9ec3aff032c783d4f
『ファーザー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ded3143b637e7b87b86bcc9121fd1826
「第93回アカデミー賞」授賞式
『ノマドランド』が、作品、監督、主演女優賞を受賞
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【ほぼ週刊映画コラム】『ノマドランド』
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『ファーザー』
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記憶や脳内こそが最大のミステリーなのだ
ロンドンで独り暮らしをしているアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、認知症で記憶が薄れ始めていたが、娘のアン(オリビア・コールマン)が手配した介護人を拒否する。
そんな中、アンソニーはアンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる。だが、アンソニーの前に、アンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男(マーク・ゲティス)が現れ、ここは自分とアンの家だと主張するが…。
日本を含め世界30カ国以上で上演されたフロリアン・ゼレールの戯曲を、ゼレールとクリストファー・ハンプトンが脚色して映画化。認知症で記憶と時間が混迷する父親の視点で描いた点がユニークで、現実と幻想の境界を描き、時空を超えるという意味では、映画向きの題材だとも言えるだろう。ミステリー映画のような趣もあり、記憶や脳内こそが最大のミステリーなのだと感じさせる。
老いた親と子の葛藤や相克という点では、シェークスピアの「リア王」とそれを基に映画化した黒澤明の『乱』(85)を、ある老人の、家族に対する時空を超えた妄想という点では、アラン・レネの『プロビデンス』(77)を思い出した。
ホプキンスが実年齢と重なる認知症の老人を演じ、彼の頑固さや、戸惑い、崩壊などを見事に表現しているが、それと互角に渡り合ったコールマンもまた見事だった。アカデミー賞で、脚色賞と主演男優賞を受賞したのも納得の出来だ。