重層的なクライムサスペンス
英ロンドンの暗黒街に、一代で大麻王国を築き上げたミッキー(マシュー・マコノヒー)が、大麻ビジネスの全てを売却して引退することをほのめかす。
そこで、強欲なユダヤ人大富豪(ジェレミー・ストロング)、ゴシップ紙の編集長(エディ・マーサン)、ゲスな私立探偵(ヒュー・グラント)、チャイニーズ・マフィア(ヘンリー・ゴールディング)、下町のチーマーとそのコーチ(コリン・ファレル)、ロシアン・マフィアといった、一癖も二癖もある連中がミッキーに近づき、莫大な利権をめぐって、スリリングな駆け引きを繰り広げる。
私立探偵がミッキーの右腕のレイ(チャーリー・ハナム)に、映画『ブッシュ=大麻』のシナリオとして事件の裏を語るという趣向が、いささか凝り過ぎなところもあり、最初はちょっと戸惑うが、慣れてくると、二転三転する、先の読めないストーリー展開が面白くなってくる。
ガイ・リッチーの監督・脚本作で、彼によれば、イギリスとアメリカの階級制度の違いを交わらせて描いたとのこと。欧米では、彼が久しぶりに本領を発揮したという声もあるという。リッチーとクェンティン・タランティーノの類似性が語られることが多いが、今回は重層的なクライムサスペンスということもあり、よく似ていると感じた。