『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』(創元SF文庫)
(2010.2.16.)
目当てはジャック・フィニイの「台詞(せりふ)指導」(Double Take)。映画撮影用に調達した古いバスが、ニューヨーク五番街で一時タイムスリップするが…。ひたすら過去への旅にこだわったフィニイの面目躍如の一編。ラストで見事な落ちが付くのもいかにもフィニイらしい。
『新・幻想と怪奇』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ロバート・ブロックの「スクリーンの陰に」(The Movie People)という一編が気になって読んでみた。エキストラ専門の老優とスクリーンの中に存在する恋人をめぐる不思議な物語が展開される。ジャック・フィニイの『マリオンの壁』を思い起こさせる映画幻想譚。