田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『タイガー&ドラゴン』(宮藤官九郎)『港町純情シネマ』『淋しいのはお前だけじゃない』(市川森一)『シネマ落語』(立川志らく)

2022-02-11 22:16:04 | ブックレビュー

『タイガー&ドラゴン』宮藤官九郎
(2005.7.6.)

 ちょいと本屋を冷やかしたら、基ネタの落語付きのこの本が出ていた。ラインアップは「芝浜」「饅頭こわい」「茶の湯」「権助提灯」「厩火事」「明烏」「猫の皿」「出来心」「粗忽長屋」「品川心中」「子別れ(子は鎹)」。

 このドラマは、毎回落語の噺をタイトルに、その噺と現代のドラマとを巧みに交差させている点が秀逸だったが、その手法を見ながら、昔同じくTBSで作られた市川森一脚本の傑作ドラマ『港町純情シネマ』『淋しいのはお前だけじゃない』を懐かしく思い出した。

 前者は映画、後者は旅芝居(大衆演劇)のタイトルをやはり巧みに毎回本筋のドラマと交差させて描いていたからである。恐らく宮藤官九郎は、この両作を参考にしたのではないか。それ故、両作に主演した西田敏行が、このドラマでも脇役として出ていたのだろう。


 で、このパターンとは逆に、映画のストーリーを落語に移し替えたのが、立川志らくの『シネマ落語』だ。

 ラインアップは『天国から来たチャンピオン』『タクシードライバー』『ライムライト』『タイタニック』『ローマの休日』『シャイニング』。キャッチコピーに「チャップリンが幇間持ちに、オードリーが吉原の花魁に」とあるように、これも、アイデアとしてはなかなか面白かった。

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「金曜ロードショー」『クール・ランニング』

2022-02-11 09:40:22 | ブラウン管の映画館

『クール・ランニング』(93)

事実は小説よりも奇なりの面白さ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/51d04cf44b39863b70877c84975e2a0c

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『ちょんまげぷりん』

2022-02-11 08:48:17 | 映画いろいろ

『ちょんまげぷりん』(10)(2011.2.26.)

 映画の見巧者が集った席で、なかなか評判が良かったこの映画をDVDで拝見。昨年、この映画のイベントを2度取材したので、ちょっと気になった。

 江戸時代の侍が現代にタイムスリップし、シングルマザーとその息子と出会い、洋菓子作りに目覚めてパティシエになるが…という結構めちゃくちゃな話なのだが、監督・脚本の中村義洋は、タイムスリップものとしてテンポ良くまとめており、全体としては面白く見た。

 監督自身は『シェーン』(53)『遥かなる山の呼び声』(80)『タンポポ』(85)などを意識したと語っていたが、城のケーキに雪を降らすところや異形の者との出会いと別れという点では、ティム・バートンの『シザー・ハンズ』(90)を思わせる。

 錦戸亮の侍役にも思ったほどの違和感は抱かなかったのだが、登場時の襟足の長さが気になった。タイムスリップものは細かいところで手を抜いてはいけない。

 ともさかりえが演じたシングルマザーをわがままな感じにしたのは、侍との価値観や生活感の違いを出すためだったのだろうが、全体がほのぼのとしたタッチなので、そこだけが妙に浮いて見えたのが残念だった。

 とはいえ、錦戸、ともさか、子役の鈴木福が好演を見せ、脇役の井上順がなかなかいい味を出していた。原作には続き(今度は子供が江戸時代に飛ぶ)があるという。先の集いで「2が見てみたい」と言っていた人もいた。


『ちょんまげぷりん2』荒木源(小学館文庫)
(2011.3.11.)

 映画『ちょんまげぷりん』を見て後を引かれたので続編を読んでみた。もともとタイムスリップものは大好きなので映画や小説に登場するとつい気になってしまう。

 前作ではまだ保育園に通っていた友也が中学生に成長し、江戸へ逆タイムスリップして木島安兵衛と再会する。勝麟太郎(後の海舟)、田中久重(からくり儀右衛門)らをなかなかうまく絡めてはいるが、友也と安兵衛が牢屋の中にいる時間が長過ぎて、タイムスリップによる時代差が生み出すカルチャーギャップの面白さ、時を超えた切ない恋愛ものとしてはいささか弱い。とは言え、さらりと一気に軽々と読めてしまう。こういうものをライトノベルと言うのかな。

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