『タイガー&ドラゴン』宮藤官九郎
(2005.7.6.)
ちょいと本屋を冷やかしたら、基ネタの落語付きのこの本が出ていた。ラインアップは「芝浜」「饅頭こわい」「茶の湯」「権助提灯」「厩火事」「明烏」「猫の皿」「出来心」「粗忽長屋」「品川心中」「子別れ(子は鎹)」。
このドラマは、毎回落語の噺をタイトルに、その噺と現代のドラマとを巧みに交差させている点が秀逸だったが、その手法を見ながら、昔同じくTBSで作られた市川森一脚本の傑作ドラマ『港町純情シネマ』と『淋しいのはお前だけじゃない』を懐かしく思い出した。
前者は映画、後者は旅芝居(大衆演劇)のタイトルをやはり巧みに毎回本筋のドラマと交差させて描いていたからである。恐らく宮藤官九郎は、この両作を参考にしたのではないか。それ故、両作に主演した西田敏行が、このドラマでも脇役として出ていたのだろう。
で、このパターンとは逆に、映画のストーリーを落語に移し替えたのが、立川志らくの『シネマ落語』だ。
ラインアップは『天国から来たチャンピオン』『タクシードライバー』『ライムライト』『タイタニック』『ローマの休日』『シャイニング』。キャッチコピーに「チャップリンが幇間持ちに、オードリーが吉原の花魁に」とあるように、これも、アイデアとしてはなかなか面白かった。