田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ビデオ通話で西部劇談議『トム・ホーン』

2022-02-20 16:51:23 | 駅馬車の会 西部劇Zoomミーティング

今回のお題は、スティーブ・マックィーン主演の『トム・ホーン』(80)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3e43f86004e3dc98ab726980db5bb068

 大コケした『民衆の敵』(78)の後に、マックィーンが、ロバート・レッドフォードと映画化権を争って獲得し、製作総指揮を務めた西部劇。

 当初の監督はドン・シーゲルの予定だったというが、結局何人も監督が代わり、最後はテレビ出身のウィリアム・ウィアードが監督をしたことになっているが、これは名ばかりで、実際はマックィーンが監督をしたようなものだという。これは『栄光のル・マン』(71)でジョン・スタージェスと仲たがいしたのと同じようなケースか。

 相手役がどちらも女教師ということも含めて、遺作となった『ハンター』(80)とは、陰と陽、コインの裏表のような印象を受ける。

 マックィーンには、結構西部劇俳優のイメージがあるが、実際にが出演した西部劇は、実は『荒野の七人』(60)『ネバダ・スミス』(66)とこの映画だけ(『ジュニア・ボナー』(72)は現代西部劇)。テレビシリーズの『拳銃無宿』の印象が強いからだろうか。

メンバーが送ってくれた当時の新聞広告

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『「鉄学」概論』『グッとくる鉄道』

2022-02-20 09:30:36 | ブックレビュー

『「鉄学」概論』原武史(新潮文庫)
(2011.1.29.)

 社会や歴史と鉄道とのさまざまな関係を面白く読んだが、ほぼ同世代の“鉄”の筆者に、素直にうなずけるところとそうでないところがあった。

 それは、あとがきで宮部みゆきも書いていたが、東京のどちら側で生まれ育ってしまったかが問題なのだ。特に鉄道は、普段利用する路線によって思い入れや認知度が大きく異なる。それは映画館も同じで、どこでその映画を見たかで映画の印象が微妙に違ったりもする。

 自分にしても、今は葛飾区の金町に住んでいるが、城南の品川区で育った者にとって、ここはほとんど未知の土地だった。そして、昔は、私鉄といえば京成よりも断然東急だった自分が、今はまったくその逆になっているということにも不思議な思いがした。


『グッとくる鉄道』鈴木伸子(リトル・モア)
(2011.5.20.)

 【新幹線】【カーブ】【鉄橋】【地下鉄】。女性の視点から見た“鉄道ポイント”が新鮮だった。見慣れた風景もちょっと視点を変えると魅力的なものに変化するのだなあ。

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1930年代洋画ベストテン(裏その2・フランク・キャプラ監督作・その3)

2022-02-20 08:01:29 | 俺の映画友だち

『失はれた地平線』(37)(1994.4.13.)

 

 外交官ロバート・コンウェイ(ロナルド・コールマン)のもとに、理想郷シャングリラへの案内人が現れる。その地の住民となる資格を得たコンウェイは、そこで運命の人ビゼー(ジェーン・ワイアット)と出会う。安らぎと喜びの日々が過ぎるが、やがてコンウェイは、ある決断に迫られる。

 なぜこの映画を今まで見なかったのか。その理由は、主演のコールマンが、フランク・キャプラ的な世界の具現者であったジェームズ・スチュワートやゲーリー・クーパーに比べると、違和感があったことが大きいし、聞きかじりや読みかじりの情報によれば、これまたキャプラ的な世界とは異質なSFタッチというところにも、疑問を感じたからである。

 ところが、見終わった今は、この映画が描いた理想郷こそは、キャプラが好んで描いた、夢のような人間や社会の姿が最も的確に表現されたものなのかもしれないと思った。

 加えて、キャプラの映画は、変な言い方だが、総じて科学的ではないSFみたいなものだから、彼がこの映画を撮ったのも至極当然のことだという気がしたし、後の『群衆』(41)同様、迫りくる戦争への警鐘や皮肉として見られないこともない。

 そして、危惧していたコールマンも思いのほか適役で、『毒薬と老嬢』(41)のケ―リー・グラント同様、これはこれでスチュワートやクーパーとは違った味わいがあった。脇を固めるキャプラ映画おなじみのトマス・ミッチェル、エドワード・エバレット・ホートン、H・B・ワーナーも見事であり、ジェーン・ワイアットという幻の女優も美しかった。

 それにしても、『或る夜の出来事』(34)から、『オペラハット』(36)、この映画、『我が家の楽園』(38)『スミス都へ行く』(39)、そして『毒薬と老嬢』と『群衆』と、第二次大戦前のキャプラの映画は本当に素晴らしいと改めて感じたのだが、戦後は『素晴らしき哉、人生!』(46)しか傑作を生めなかったのだから、戦争が彼に与えた傷の深さや時代の変転を思うと胸が痛む。

『オペラハット』(36)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a4c634b87148c96bb2ef64b59ce01e7d

『我が家の楽園』(38)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/eca042da7dea8e5de19a19dbbe9b9bb5

『スミス都へ行く』(39)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4eeb8cdcc989fc8c0bbe0130ae60e4ea

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