『スクリーンの中の戦争』坂本多加雄(文春新書)『ベースボールと陸蒸気~日本で初めてカーブを投げた男・平岡熈』鈴木康允・酒井堅次(小学館文庫)(2005.3.28.)
毎日新聞の書評で知った興味深い2冊。前者は惜しくも亡くなった博覧強記の政治思想史家による戦争映画論。後者は日本にベースボールを輸入し、鉄道王でもあった稀代の道楽者の評伝。どちらも面白かった。
『山田洋次の<世界>』切通理作著(ちくま新書)(2005.8.29.)
この著者が山田洋次について語るとはいささか意外の感あり。もっとも同感するところも多く、またも先を越された思いがした。
『現代映画聖書』立川志らく(講談社刊)(2005.9.5.)
以前、友人から紹介された一冊。まあ簡単に言えば、所詮映画の良し悪しは個人の好みによってどうにでも変わる。つまりは映画を見るということは非常に個人的なものなのだ、ということを実感させられる本。まあ、彼は本来は落語家だから、映画については、何のしがらみもなく好き勝手なことが書けるわけで…。
『池波正太郎の映画日記』(講談社文庫)(2006.5.31.)
古本市でを見つけたので購入。1970年代半ばから80年代半ばまでに公開された映画についてのエッセーなので、自分が中学から大学までの一番映画を見ていた時期とも重なり楽しく読んだが、この場合、筆者お得意の食事についての記載はちょっとジャマな気がした。それにしても池波先生は黒澤明がお嫌いなようで。
『怪盗ジゴマと活動写真の時代』永嶺重敏(新潮新書)(2006.12.13.)
明治末年から大正元年にかけて公開され、いまだに伝説として語り継がれているフランス映画『怪盗ジゴマ』を媒介にして、その騒動や時代を語っているのだが、いささか突っ込みが甘い気がした。ただ「頗(すこぶ)る非常」という決まり文句を連発して受けたという、巡業師兼名物弁士の駒田好洋(頗る非常大博士)の生涯には興味を持たされた。