自分は新御三家(野口五郎、西城秀樹、郷ひろみ)に親しんだ世代なので、橋幸夫、舟木一夫と共に、御三家と呼ばれた歌手としての西郷輝彦の活躍はよく知らないが、小学生の頃にはやった「星のフラメンコ」(作詞・作曲:浜口庫之助)だけはよく覚えている。
当時のご多分に漏れず映画化もされているが、さすがにこれは見ていない。脚本はかの倉本聰が書いたようだ。
後年、出だしの「好きなんだけど 離れてるのさ」を「すき焼きだけど 肉がないのさ」と替えて歌ったタモリの「肉のフラメンコ」がある。
タモリはジャッキー吉川とブルー・コメッツの「ブルー・シャトウ」(作詞:橋本淳、作曲:井上忠夫)の替え歌「ブルー・エンペラー」も歌っている。
で、「ブルー・シャトウ」といえば、子どもの頃、出だしの「森と 泉に 囲まれて」を「森トンカツ 泉ニンニク かーコンニャク まれ天丼(てんぷら)」と替えて歌ったことを思い出す。あれは一体誰が作ったのだろうと思って調べてみたら、どうもチャコちゃん=四方晴美らしい。
さて、西郷は俳優としても活躍した。その始まりは、花登筺原作のドラマ「どてらい男」で演じたモーヤンこと山下猛造だ。モーヤンをいじめ抜く藤岡重慶や高田次郎の憎々しさが見どころの一つ。妻役の梓英子に憧れた。
「どうせ一生、あー、どてらく生きにゃあ」という主題歌(作詞:花登筺、作曲:神津善行)もよく覚えている。映画版では小柳ルミ子が妻役を演じたようだが、これは見ていない。
その後は、「江戸を斬る」シリーズの遠山金四郎、大河ドラマ「独眼竜政宗」(87)の片倉小十郎、「田原坂」(87)の西郷従道のほか、映画では、『狼よ落日を斬れ』(74)の沖田総司、『柳生一族の陰謀』(78)の徳川忠長、『赤穂城断絶』(78)の浅野内匠頭、『小説吉田学校』(83)の田中角栄など、実在の有名人を演じることが多かった。