田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

アイバン・ライトマンの映画 プロデュース作

2022-02-14 22:41:37 | 映画いろいろ

 アイバン・ライトマン死去。最後の映画が、息子のジェイソンと一緒に作った『ゴーストバスターズ/アフターライフ』だったのだから、いい人生だったのではないか。初めて彼を知ったのは、彼が製作し、ジョン・ランディスが監督をしたこの映画だった。

『アニマル・ハウス」(78)(1980.5.4.三軒茶屋映画.併映『アメリカン・グラフィティ』『天国から来たチャンピオン』)

 1962年。名門フェイバー大学の新入生ラリー(トム・ハルス)たちは学生友愛会のデルタ・ハウスに入会するが、そこはブルート(ジョン・ベルーシ)、かわうそ(ティム・マシスン)など、くせ者集団の巣窟だった。学長(ジョン・バーノン)は、優等生集団のオメガ・ハウスを使ってデルタ・ハウスをつぶそうとするが…。

 めちゃくちゃな映画だが、こんなに笑ったのは久しぶりだった。これは劇場の雰囲気の影響もあったのだが、登場人物がそれぞれ個性的で、60年代初頭のまだ明るいアメリカがよく出ていたからだと思う。

 ラストの“その後の消息”は、今日一緒に見た『アメリカン・グラフィティ』のパロディだろう。それにしても、あのデブのブルートが上院議員とは、いやはや何とも笑える。遊んで騒げるのも学生の特権!

【今の一言】ちょうど自分も大学に入ったばかりのときで、大学の隣の駅にあった映画館で見たのだった。ただ、その後の自分の大学生活はこんなに楽しくはなかったが…。

『ベートーベン』(92)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f90a3420c310dcc28d67343c4b459e71

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/14b33d1b832eedcc3dca49ba4de039d6

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『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』をNetflixで再見

2022-02-14 12:05:28 | 映画いろいろ

 この映画に関しては、いろいろと分かってから見た2度目の方がよかった。主演の2人の好演(特に小松菜奈がいい)に加えて、肝はやはり、レトロな雰囲気の京都で繰り広げられるクラシカルな恋愛模様が、現代が舞台なのに、そうは見えない不思議な雰囲気を感じさせるところだろう。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/11aacb7071596e82efe9680f0003d89e

『君の膵臓がたべたい』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』とは兄弟映画か
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/954c56b02eff903ec700e1bad94523f2

 

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戦争秘話『広瀬中佐の銅像』『灰の男』

2022-02-14 09:40:47 | ブックレビュー

『広瀬中佐の銅像』もりた なるお(新人物往来社刊)
(2006.5. 26.)

 先日閉館した交通博物館前(旧万世橋駅前)に建っていた日露戦争の英雄・広瀬中佐の銅像。だが、第二次大戦後“戦犯銅像”として撤去される。そして、その後なぜか銅像は行方不明に…。美術界の裏側を描きながら、ちょっとした謎解きを加えるというのは、筆者の名短編「真贋の構図」と同じ手法だ。ただし、老齢故か筆致が緩んだ感じがするのが残念だった。

 併録された『予科練の七つボタン』はウィリアム・サローヤンの『人間喜劇』を思わせる戦中話。この人の本領はやはり短編かと思わされる。


『灰の男』小杉健治(講談社文庫)
(2006.8.5.)

 戦争に翻弄される対照的な2人の主人公の人生(戦中、戦後、現代)を通して、昭和20年の東京大空襲にまつわる謎を追った一種のミステリー。前半の下町や庶民の生活描写が秀逸なだけに、後半に提起される天皇や軍部の責任問題が浮いてしまうのが惜しい。


『沈黙の土俵』小杉健治(ケイブンシャ文庫)
(2009.9.28.)

 15年前の殺人事件に関係する5人の男女の謎とそれを追うフリーライターと女性弁護士の恋が縦糸、そこに相撲界に入った若者の出世物語が横糸で交錯する。この手法は、同じ作者の『土俵を走る殺意』の姉妹編のような趣。ミステリーとしてはいささか弱いが、相撲とミステリーを融合させた点がユニーク。取り組みの描写もうまい。

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『五月十五日のチャップリン』(川田武)

2022-02-14 08:37:37 | ブックレビュー

『五月十五日のチャップリン』川田武(光文社文庫)
(2005.5.23.)

 昭和初期に起きた5.15事件と、来日中だったチャップリンとのかかわりには結構謎が多く、日下圭介の『チャップリンを撃て』、千葉伸夫の『チャプリンが日本を走った』などを生んでいるが、この小説はチャップリンとヒトラーが実は超能力で結びついていた? というオカルティズムを用いて2人をコインの裏表として描いた異色作。

 とはいえ、これは少々強引な力業でルール違反だという気もするが…。何しろ、この手を使ったら何でもOKじゃないか。淀川長治さんとおぼしき評論家が登場するのはご愛嬌。

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「午後のロードショー」『フランティック』

2022-02-14 07:18:13 | ブラウン管の映画館

『フランティック』(88)(1991.5.15.月曜ロードショー) 

 パリを舞台に、失踪した妻を追う男の姿を描く。ロマン・ポランスキーが、これほど素直に“ヒッチコックしている”とはつゆ知らず、どうせまた癖のある映画を撮ったのだろうと、勝手に思い込んで今まで見ずにいたのだが、見事に予想は外れ、今は、久しぶりに面白いサスペンスを見せてもらったという喜びを感じている。

 ただ、いかにもポランスキーというところもあった。パリで生まれ、ポーランドに移り、イギリス、アメリカを経て、再びヨーロッパへと舞い戻った放浪するユダヤ人の彼が抱く、どこにいても異邦人という孤独や恐れが、この映画の、パリで一人ぼっちになるアメリカ人の主人公(ハリソン・フォード)の心情に反映されている気がする。

 だから、これはやはりポランスキーが持つ屈折がなければ生まれない、描けない世界だったのではないかと思うのだ。すなわち、個人が持つ屈折も、描き方次第では、サスペンス劇に昇華させることも可能だということ。その手本がここにある。

 

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