五月が去るとて 矢沢宰詩集 光る砂漠より
五月が去るとて
何を悲しむ。
たとえ伏す身といえど
熱き血潮をたぎらせて
生きると決したは
この五月の時では
なかったのか。
五月が去るとて
何を悲しむ。
この胸に
真白きバラを
押しつけて
進もうと誓いしは
この五月の時では
なかったのか。
五月が去るとて
何を悲しむ。
ああ だがこの若き十六歳を
むかえての
五月が再びまいらぬと思えば
我胸は涙でむせぶ。
矢沢宰さんは21才で死去
14才から21才までの7年間に500篇の詩を残しました。
本の帯には次のように書かれています。
少年矢沢宰の生涯は奇跡のような一条の光芒を文なす一生であった。
その短い生涯と詩と思索は、たくさんの人々を、濁りない愛と友情でむすびつける。
その澄みきった魂の記録!
清らかな啓示ー
1970年の青少年読書感想文全国コンクール課題図書でした。
私は17才の時にこの詩集に出会いました。
以来五月最後の日にはいつもこの詩集のこのページを開いています。
どんなに辛く、苦しい時にも生きると決した五月。
進むと誓う五月。
五月最後の日。
私も生きると結する。
進むと誓う。