昨日のうちに帰ってこようとしたけど間に合わなかった。こんなことが時々ある。今日読んだ「猫の巡礼」って短編を繰り返し頭の中で思い浮かべていた。9歳になると猫がふと家を出て2~3ヶ月いなくなってまた戻ってくる。その間どこでどうしていたのだというと巡礼に出てたというのだ。その場所が、富士の裾野あたりでなんでも全国の猫が集まってくるという話しだ。「猫」だけにありえそうだと思って帰ってみると、パンプがおおあばれしたらしく、ウルーのお茶碗がテレビの上にあった。また、桐の箱に入った上等のお茶碗を引っ張り出してその箱を壊している。もうなんとかならないかなと片付けていると、押入れのほうからガタゴトと音がする。見ると、猫の手が1本、戸から出てきて器用にふすまを開いた。中からウルー。「おまえもか」と言うと「ニャんだよう」ときた。ひとしきり訴えてるのを聞くと、ふすまが開いてたので入ったら、パンプがふすまを閉めたということらしい。それから、鰹スティックを1本やると機嫌直して傍らで寛いでいる。じっとウルーを見てると巡礼が似合いそうだなと思った。「それは、ぜひ、行かしてあげなさいよ」と小説の中の女の獣医さんの声が聞こえた。
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