フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

茶虎

2013-01-09 09:22:20 | Weblog
マルディが振り返りチラチラと後ろを気にする。いつもなら「行きゆうかね」と声をかけてくれる老姉妹のうちの妹のほうだ。今日は追いかけてきて横に並んだ。「あれ、もう一匹は?」というからランディの事故のことを話すと「うちの猫、知ってるやろう?」「うん、あの犬のようについて歩いていた茶虎でしょう」「そう、あれも死んだ」「エッどうして?」「首の横にグリグリができてね。あそこの病院のICUにはいっちょったけんど」「癌だったの?」「わからん。餌が食べれんなってね。見に行ったら痩せて痩せて」「こないだついに死んだ」「そう」しばらく黙って一緒に歩いてから別れ際に「もうあの茶虎に代わるもんはおらん」とぽつりと言って行ってしまった。その後姿が寂しそうで小さく見えた。時が経てば・・・・・しかないのかな。悲しみって。
コメント
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