フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

映画 深夜食堂 

2015-02-21 07:59:22 | Weblog
キミが吐いた白い息が 今ゆっくり風に乗って
空に浮かぶ雲の中に 少しずつ消えてゆく
遠く高い空の中で 手を伸ばす白い雲
君が吐いた息を吸って ぽかりと浮かんでいる
ずっと昔のことのようだね 川面の上を雲が流れる
・・・・・・。
夜の都会の雑踏の中をゆっくりと走りぬける車からの視線での景色が流れ「深夜食堂」のテーマ曲が流れていく。お馴染みの画面なんだけどこれだけで「深夜食堂」の世界へ誘われて常連になった気分でここに来る客達とマスターのことを客観的に見ている自分がいるストーリーの中にキャスティングされてはいないんだけどどこか店の片隅に自分がいるようなそんな深夜食堂の世界。「マスター、カレーライス」「あいよ」ではじまり「カレーライス」「とろろご飯」「ナポリタン」と料理によって物語が構成されている。置き忘れられた遺骨という縦糸があり映画ならではの作りと成っているがメインはやはり各章かな
その中でも僕には「とろろご飯」が良かったな。マスターの日常も描かれていて坂道を自転車で立ちコギするのがなんともいえずおかしかった。この店で無銭飲食した「みちる」が後日あやまりにきて「働いて返すからこの店で働かしてくれ」って頼むシーン。余裕なんかないけどポーンと500円出すマスター。「金なんか恵んでもらいに来たんじゃない」というみちるに「これで風呂に行って来いよ」というマスターの照れたような慈悲のような表情がいいんだ。みちるはここで住み込みで働く。新潟から出てきた娘でバァちゃん子でいろいろとすったもんだした挙句マスターの友達の料亭の女将に拾われてこの店で最後の日に「みちるちゃんの好きなもの作ってあげる世」とマスターが言うんだ。そしたらみちるが「とろろご飯」って言うんだ。「ばぁちゃんがよく作ってくれた」と。しばらくたって料亭で働くみちるの下へバァちゃんからの手紙。いやぁ泣けましたねこのシーン。
他にはもう忘れかけられている東北の震災の話や相続の話、都会の遺骨事情など日常のレベルで向き合わないといけない話が美味しそうな料理と共に展開されるからたまらない。竜ちゃんは相変わらずタコ足ウインナーだし刑事コンビはニラレバ、お茶漬けシスターズはお茶漬け。小暮巡査はラーメンと定番が変わらないのもクスッと笑えるところかな。
キミが吐いた白い息が 今ゆっくり風に乗って
空に浮かぶ雲の中に 少しずつ消えてゆく
少しづつ消えてゆく

「思ひで」 鈴木常吉 歌・作詞・作曲
  
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