みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

冬の俳句

2008年01月30日 | 俳句・短歌
久しぶりに俳句。依然、収集熱は健在ですね。
冬は冴え渡る空に、星空がきれいな季節。と言うことで、

真砂なす数なき星のその中に吾に向ひて光る星あり
(正岡子規)

好きなんだな。この歌の世界観は。高校の頃に知って以来、お気に入りの歌。だからかもしれないけれど、次の句を少し前の俳句番組で知って、

冬星のひとつを恃みつつあゆむ
(木下夕爾)

これは、良いなあと思った。「真砂なす」は静止しているのだけど、「冬星」の句は前に進んでいる。
何かに頼ることからは、思い上がりのない謙虚な姿が浮かび上がってくるし、その頼るものが「星」である。寒空の下、冬星を恃みに思いつつ、てくてく歩いてゆく男、一人ありけり。ん~、ささやかにロマンを感じませんか?

ちなみに、この会の選者の正木ゆう子さんも曰く、この「ひとつ」の星はシリウスで、
「シリウス」と言えば、遊佐さんの「シリウス」。
「ひとつ」と言えば、遊佐さんの「ONE」。
どちらもとても好きな曲。
と言う事で、歳を経るごとに、好きなものが絡み合って、感動(←ちょっとおおげさ)は深まってゆくみたい。

行けばまたその先少し雪明り
(船橋市 白石勉)

結局は、こういうものだと思う。人生は。と語れるほどの人生経験は積んでいないのだけど・・・。多分、そうなる予感はあるんだけど・・・。
万事、絶望的になることもないし、さりとて楽観的にもなれないけれど、少しずつ前に進んでいけば、道はほのかに照らされて、また、先に進んでいけるよ。きっと。大丈夫。と言うメッセージが、この句から伝わってこないかな?

残菊に真直なる茎なかりけり
(詠み人知らず)

菊の姿を、よく見ているなと思う。よく見ること=愛情というのは大げさ?。多くを語らなくとも、作者の菊の花への想いが伝わってくる。
やつれ、衰えていくものへ思いを寄せること、哀惜の念、美しいと思う。

言葉をぎりぎりに削ぎ落とす潔さ。見事に575に落とし込む技。余韻を醸しつつ、心のありようを表現すること。本当に見事だと思う。改めて、俳句は究極の詩だなあと思う。
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音楽手帳

2008年01月27日 | 予定表
すぐ、うっかりして忘れるので、ライブもメモっておこう。

・5/10(土)山田晋吾とマキノリョータ尼ケ坂
 レコ発ライブとのことです。

・7/12(土)小山実稚恵@知立リリオホール(チケット発売4/12)
 小山さんと握手できるだろうか?

今のところ、こんな感じ。仕事、火を噴きませんように。と言うか、噴かさせんぞ。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
~終了~
・2/9(土)山田晋吾とマキノリョータ尼ケ坂
 クールでアイリッシュの香り漂い山マキ。美味しいそうな食べ物も楽しみ。

・3/1(土)ボロン@岡崎?
 魂を持って行かれそうなボロン。半分、怖いのだけど・・・。

・3/8(土)遊佐未森金沢市民芸術村
 そらみみ倶楽部会員としては、行かねばなるまいて。日本海の美味しい海の幸も楽しみだな。
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●レッスン どうするべ?

2008年01月26日 | ピアノレッスン
左手小指不調につき、休もうかとも思ったけど、月謝も勿体無いので、行くだけは行く。

・チェルニー40-34(左手の練習)
×。左手小指を、薬指に替えて弾いてみるも、そんなに器用なこと、できるわけもなく・・・。もともと弾けてないわけだし・・・。

・ピアソラ(山本京子編曲)「リベルタンゴ」
は休み。

完治するまでは、左手小指はバカンスだな。
右手だけ練習か、音が少なくて左手は4本指で弾けそうな曲をやってみようか。ちょうど、少し前に出会ったマクダウェルの「野ばらに寄す」でもいいし、サティの「ジムノペディ1番」も、レパートリに入れるいい機会だ。発表会は、微妙。
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冷えの効用

2008年01月24日 | 近況
今日は、ここ名古屋も、木枯らしがぴゅーぴゅー吹き荒れてた。
とても寒い。手も凍える。
冷えると、古傷や、体の弱いところの痛みが、はっきり感じられたりしませんか?騙せないと言うか・・・。

それで、困ったことに、左手小指に、わずかに痛みがある・・・。
昨年夏から秋にかけて、エオリアンハープの練習で痛めた傷。どうも、治りきっていなかったようだ・・・。リベルタンゴの練習で勢いあまって、また痛めてしまったかな・・・。

ピアノはほどほどにしなさい、との神のお告げだろうか・・・。
どうするべ?

教訓その1)体の弱いところをチェックするために、寒さも役に立つ。
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シルク、ん~。

2008年01月22日 | 映画
音楽は坂本龍一!、原作者は「海の上のピアニスト」の作者。ということで、シルク、観にいったのだけど・・・。
シルクのようなストリングとピアノの音楽はいい。
フランスの美しい山村の映像もいい。幸せそうな恋人の描写もいい。
妖しげな日本女性の所作にも、うっとりである。

でも、肝心のストーリーは、ピントがぼやけてるかんじ。
感情移入できず、消化不良。
鈍いんだろうか?>そらみみ

西洋人が思い描く、美しい国・日本は、微妙に違和感があるなあ。
映画の映像に限れば、自分はフランスの山村の方に惹かれる。こういうところを、あてどもなく、のんびりと旅してみたい。

「フランスへ行きたしと思えども、フランスはあまりに遠し・・・」(萩原朔太郎)

と言うことで、あまりお勧めできませんね・・・。
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矢部達哉&横山幸雄デュオ

2008年01月20日 | ピアノ
矢部達哉&横山幸雄デュオのコンサートへ。
宝石が煌く如くのピアノと、極上シルクの光沢を音にしたようなヴァイオリンの組み合わせは、大のお気に入りで、ヴァイオリン、なんたる美音!と聞き惚れておりました。

ベートーヴェンの春のソナタは、特に4楽章が大好き。自然で素朴で温かさに満ちた曲。生きる喜びが存分に表現されていると思う。改めて聴くと、ベートーヴェンは稀代のメロディーメーカーなんだなぁと思う。こういうソナタがピアノにもあるといいのに。

横山幸雄氏ソロ、アンダンテ・スナピアートと大ポロネーズは、まるで余裕の弾きっぷりで、ぞっとするような難所も平然とすいすい。むしろ、難所ほどスピードが上がり、確実に弾く印象。しかし、この曲は、本当に映えますね。

演目で一番印象に残ったのは、横山幸雄作曲のバイオリンソナタ。憂いを秘めた、ちょっとフランス的(←怪しい)な色合い。
息を飲むような美しい音の世界。CD化されますように!

終演後はサイン会に臨み、横山さんと握手。
肉付きよく、ほどよく柔らかく、ほどよく温かく。自分の手に近い触感だった。

いつの日か、バイオリンとアンサンブルができるといいなと思いつつ、そんな日はやってくるのだろうか・・・。芸術の殿堂への小旅行、今年は、ちょくちょく決行しよう。

(曲目)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調op.24「春」
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調op.22
横山幸雄:祈りのバラード
横山幸雄:ヴァイオリン・ソナタ
(アンコール)
フォーレ:夢のあとに
リスト:ラ・カンパネラ
in 豊田市コンサートホール

このCDはお勧めですね。
レザムルーズ
矢部達哉,横山幸雄,ルクー,フォーレ,ラヴェル,ドビュッシー
ソニーレコード

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小池昌代さん~マクダウェルの「野ばらに」

2008年01月16日 | 
このところ、小池昌代さんの「タタド」「裁縫師」「ルーガ」を続けて読んだ。
小池さんの文章、すっきり、くっきりしてるし、詩的な比喩、表現がとても素敵だなと思う。時折、顔を覗かせるエロティシズムの蕾や花もいい感じ。

あと、人間の暗い側面、孤独だったり、死だったり、喪失だったりが、よく出てきて、けっこう重かったりもするが、上っ面だけでない、人間性への深い洞察があると思う。

あと、決定的にいいなと思ったのは、以下のようなピアノについての一節に出会ったからだろうか。

裁縫師に収められた「野ばら 」より
 美知子の弾ける曲はいくつもない。とりわけ好きなのは、マクダウェルの「森のスケッチ」と題された一連の曲だ。その楽譜の冒頭にあるのがTo a Wild Rose「野ばらに寄す」という一曲で、父が好きで美知子にすすめたものである。地味な小曲だが愛らしい。父はこの曲が、素朴な美知子にとても似合うといった。美知子はバラでも、野ばらある。野ばらは風姿はあでやかではない。だが、なかなか香りがよいのである。
 最初は片手ずつ。右手、左手。つっかえてもいい、毎日、少しずつ、少しずつ、とにかく、毎日、ピアノに触ること。昨日よりも今日は、少しだけ進んでいる。
いつかかならず、「野ばらに寄す」を、譜面なしで弾けるようになる。そのとき「野ばら」は美知子自身だ。なんでもいい、一曲だけでいい、ひとつの曲をしあげてみな。弾けるようになるっていうのは、素晴らしいことなんだ。音楽が流れだすってことは、血が流れだすこと。それが生きるってことなんだから。
 父はそう言って、美知子をピアノの前に座らせた。
 鍵盤に指をしずめる。すると鍵盤のそこのほうからも、美知子をかすかに押し上げるものがある。その抵抗が美知子にはうれしい。ピアノと静かに対話しているようである。
 美知子はそうして日々、ピアノに向かった。やがて「野ばらに寄す」を暗譜で弾けるようになった。弾いているあいだは、なにもかもを忘れていた。自分のことをも忘れていた。それはすばらしい「無の時」だった。

ピアノの魅力、面白さが、うまく表現されてると思う。作者、恐らくは、ピアノを弾かれる方なんだろうなと思う。ピアノの喜びを知る人でないと、こうは書けないだろう。他の作品にも、人から譲り受けたピアノの中から手紙が出てくる話もあったなあ。

ということで、強引にピアノ的にしてしまった感もありますが、小池さんの作品、お勧めですね。

ちなみに、マクダウェルの「野ばらに」はこちらで、視聴できて、楽譜も入手できます。少し不安感が入り混じりつつ詩的な曲で、なるほど、小池さんの作品とうまく符合するなと思う。

裁縫師
小池 昌代
角川書店

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展覧会、手帳

2008年01月13日 | 予定表
液晶絵画展@三重県立美術館、~4/13(日)
巡回は
・国立国際美術館 2008年4月29日(火)-6月15日(日)
・東京都写真美術館 2008年8月23日(土)-10月13日(月)
森村泰昌による動くフェルメール、とても気になるのでした。

アンカー展
スイスの画家、アンカー。ほっこりとあたたかい気分になれそうだ。山好きとしては「スイス」は外せない。Bunkamuraでの会期は、もうすぐ終わりだけど、その後、松本(4/8~5/18)、京都(5/24~6/22)と巡回なので、どっちかでは行こう。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ
デンマークの画家。静謐な画風は好みだな。9~12月、@国立近代美術館だそうです@日経新聞。

牧野義雄展
100年前、ロンドンを描いた画家だそうだ。霧のロンドンだ。よさげだ。3/30まで@豊田市美術館。

コロー展
やわらかで素朴な風景画がとても好きなのだ。是非、見に行きたいな。
6/14~8/31 国立西洋美術館
9/13~12/7 神戸市立博物館
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●レッスン リベルタンゴ6回目

2008年01月12日 | ピアノレッスン
2008年最初のレッスン。今日は生憎の空模様。でも帰り際、西の空は、雲の切れ間からオレンジの夕空が覗いてた。明日からは天気、良くなるかな?

・チェルニー40-33(6連符による右手音階練習)
◎。下降アルペジオで、親指が飛び出てしまったり課題はあったけど、合格。
年末年始、チェルニーはさぼっていたのだけど、1週間前から、限界の速さで弾く練習を繰り返したのが功を奏してくれたみたいだ。よく弾けていると褒められて、素直に嬉しい。
次は34番。かなり格好いいエチュードで、楽しみにしていた曲。さぁ、がんばろ。

・ピアソラ(山本京子編曲)「リベルタンゴ」
もう6回目=3ヶ月になるですね。ようやくノンストップで弾けるようになってきた。音外しは多いけど・・・。
先生曰く「リズムが取れて丸くなってしまったわね」「前はもっと旋律が出てたのに」
イントロの最初の1ページ目が妙に不安。暗譜が剥がれそうだ・・・。

仕上げ段階だからか、今日は、不必要に緊張してしまった。思うのだけど、ノンストップで弾くことに慣れてないのだ。仕上げの段階までは、いつも、つっかえ、つっかえで、それなりに弾けるようにする(0→80点)練習ばかり。
何があっても止まらないで弾く(80点→100点)練習も、もっとしないとな。
何があろうとも、止まらずに弾き切る。止まらないことに慣れる。

と思いつつ、効果が見えにくい(80点→100点)練習よりも、成果が目に見えやすい(0→80点)練習に、ついつい熱を入れてしまうんですね・・・。

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ミーナの行進

2008年01月11日 | 
2008年最初の読書は、なかなかにいいスタートでした。
小川洋子著「ミーナの行進」。六甲の山の麓に佇む洋館を舞台に、二人の少女、朋子、ミーナと彼女らを取り巻く家族の交流を描いた話。とりたてて大きな波乱もなく、淡々と進んでいくのだけど、不思議と引き込まれて、ちょっと厚かったけど、一週間で読了。

文章は、とりたてて巧いという感じではないのだけど、温かくて素直な雰囲気で、好きだな。ミーナの描くマッチ箱のメルヘンの挿話も良い感じ。

登場人物たちが、あるべきところに自然に嵌っている心地良さがある。人、それぞれ、ささやかであっても定められた役割を果たすことが、とても尊いことなんだよ!そんなメッセージを感じたのだが・・・。
さぁ、我々も、人知れず、静かに胸を張って人生を「行進」しようではないか!という感じだな。

コビトカバのポテ子に合掌。

ミーナの行進
小川 洋子,寺田 順三
中央公論新社

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