地方紙福井新聞に月1度くらいの頻度で、
当地関連の「文学書の紹介特集」が有る。
私にとっては、勝山市が場面のとなる
高橋治氏の「さまよう霧の恋歌」に継ぐもの。
開高健氏の文学がどうのと、
そんな薀蓄が述べられる知識も無いのですが
歯にものを着せない筆運びは、いつも心引かれる小説家で、行く冊か読んだだことが有る。
今回、越前海岸での滞在で書かれた、
「開口一番」。
この中の小品「北陸の味覚、王者の奢(おごり)」。
ベトナム戦争戦場取材からの帰国で、その悲惨な戦場体験の
心を癒す為に訪れた、越前海岸のひなびた旅館「こばせ」。
連日の釣り三昧や、海鮮料理三昧、
最初は「越前かに」料理に舌鼓をされたものの、だんだん飽きてきた、
幾度かの食事で何を出しても満足でなさそう、
そこで主人が越前かにの「メス(せいこがに)」をばらし、
実、かに味噌、内子、外子などまぶした「独得の丼」を出したら大絶賛。
(この小品の中に、その様子が細かくリアルに書かれているのはさすが)
その後、此れがこの宿の名物として「開高どんぶり」となったもの。
私も一昨年
越前海岸で頂いたものですが、
今冬も行きたいと思っています。
これには開高先生もうなった、とか。
この地のひそかな名物の由。
それは美味しかった。
氏ほどの食通でなくても、うなる味、私もおすすめ。
丼に乗っている「黄色のタグは越前かにの証」食べられません。