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小さな公園の2ヵ所の花壇に真っ赤な集団が居座っている。
夏の燃えるような太陽の熱を吸収したかのようなその赤は、誰もいない公園で秋の日を気持ちよさそうに浴びている。美空ひばりの歌がふとうかんだ。
高いものは2メートルを超えるほどもある。少しお重そうに見える。見ようによっては怖さを感じさせる。茎は鶏頭に見えるが本当の名前が分からず写真に残した。
ある集まりで見てもらったら「これはハゲイトウ」と一斉に答えがもらえた。一瞬、わが頭頂部のように聞こえた。葉鶏頭、見たことはあるがこんなに大きななりをしていたかは思い出せない。
これは観賞用の1年草で夏の中ごろから晩秋にかけて綺麗な姿を見せるが、花は葉の付け根に咲き目立たない。秋の低温で色を増しいっそう鮮やかになり、その色が「鶏頭」に似ていることからこの名前になったという。黄色のものもあるそうだ。
誰が掃除されたのか綺麗な公園、秋の花の植え付け準備なのか葉鶏頭だけが残された花壇、昼下がりの静かな公園には人の姿は見えない。葉鶏頭が番人のように頼もしく見える。
(写真:もりもりと力強い姿の葉鶏頭)