日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

幾百千万枚の世相

2013年07月09日 | 生活・ニュース
            
 
 らせん状階段の空間を利用して七夕かざりが立てられている。それには何処も同じように、願いの記された短冊がついているが、屋内のため風に揺れることなくじっと静かにしている。見るともなく願いを読むと、子どもから高齢者までと思われる多種多様な内容だった。施設利用者の願いとして読めば微笑みも浮かぶ。

 「蟻の思いも天に昇る」ということわざ。小さく非力な蟻の願いでも、一心であれば天に通じてかなえられることがある、という意味。弱小な者でも、一念発起して努力すれば大望を果たせるという例え。似たことわざに「一念天に通ず」「念力岩をも徹す」、こんなのもある「蚤の息も天にあがる」。

 「プロのサッカー選手になる」肉太の力強い字、「なる」と言い切ったっところがいい。岩をも徹す志を感じる。「花屋さん」「ケーキ屋さん」はよく聞く願い、短冊の文字は心なしか優しく見えるのは、商業イメージだろうか。スポーツ界の趨勢だろうか「野球選手」は見えなかった。両親へのエールもある。現役のころを思い出し、親へ期待する子ども心の変わらないことに苦笑する。

 病や介護などからの「さよなら」を願う短冊もある。そこに記された文字からは長い年期の思いが伝わる。戦後の復興を担った皆さんの老後が必ずしも安定でないこともわかる。介護忌避の文面もある。子どもの書いた将来に「看護師」や「介護士」もある。子どもらの願いが実るよう見守りたい。

 全国で七夕かざりに付けられる短冊は幾百千万枚だろうか。それを集約したら、今の世相を反映しているのは間違いないだろう。夢への不安、短冊に込められた一語一句、参院選候補に目を通してもらったら、先生方には思いもつかなかったいい政策が浮かぶだろう、来合わせた選挙カーの音量がその続きを断ち切った。
コメント
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