
草むらで競い合うように鳴く虫の鳴き声を聞き分けることはできない。これを教えてくれるのは童謡の「虫の声」。松虫は「ちんちろちんちろちんちろりん」、鈴虫は「りんりんりんりんりいーんりん」、きりぎりすは「きりきりきりきり」、くつわ虫は「がちゃがちゃがちゃがちゃ」、馬おいは「ちょんちょんちょんちょんすいっちょん」という具合に鳴く。
鳴き声は聞こえるが鳴く姿はお目に掛かれない。鳴いている草原、といえば聞こえはいいが我が家の近くのそれは雑草が茂っている中で鳴いている。こうした茂みの中に入るにはそれなりに虫やヘビよけなどの防備がいる。地面が湿っているとマムシに出会うこともあるから気を付けよう。
月2回、高齢者ばかりが陶芸でお世話になる由宇町のふれあいパーク、銭壷山の海抜500㍍の場所にある。瀬戸内海は眼下によく晴れると四国の山並みも見える好位置にある。麓の国道とは気温が3度あまり低く、紅葉も少し早め、今月中旬の教室の日、周りの木々は紅葉が始まっており、創作の秋ですよ、と呼びかけている。
ここの受け付け前に、竹トンボやがりがり棒など何種類かの竹細製品が並んでいる。これは陶芸メンバーの竹細工趣味の先輩手作りの品々。その中の圧巻は秋の夜を楽しませる虫、今にも飛び出し鳴きだしそうに作られていていつも感心する。施設は老若男女の利用するところで次第に数が減る。先輩は作陶で施設に行くたびにこれらを補充され施設関係者は喜ばれる。鳴き声を録音したエンドレステープでも忍ばせておくと皆さんもっと驚くかも、聞こえてくる虫の声を聴きながら思う。