梅雨の晴れ間。夏を思わせるような青空からの日ざしをうけた草木はむせかえるような熱気を発しながら緑濃くしている。そんな樹木のひとつサクラも、緑濃い葉を茂らせ養分を幹内に蓄えつつある。落葉し冬の寒さを耐え花を咲かせるまで絶え間のない生命維持を続けている。
そんな勢いある木に茂る葉には自然エネルギーが充満している。そんな葉が美味くないわけがない。それをよく知っている虫のお出ましも葉は知っているだろう。知っていても逃れる術のない葉、虫の思うがままに蝕まれ、その後はなるようにしかならない。
蝕まれた葉は大小様々な形、同じ形を見つけることは出来ない切り抜き、いや、食い抜きにされている。食い抜きの形はハートであり小鳥のようであり、人の顔に似ていたりする。食い残された形が坐する大仏であったり熊らしく見えたりもする。コツコツ食べながら作るとはすごい奴だと感心して眺める。
そんななかで発見したのは、人の顔に似ていて、大きな目だけくりぬいた仮面のように蝕まれた1枚の葉。こんな顔が突然目の前に現れたら驚くだろと感じる。撮っているとき、風に揺られると威圧感がある。もし正義の味方なら「リーフ・レンジャー」として森林を守るヒーローにしたい。こんなことを考えたり思いながら蝕まれた葉を眺めていると、作は芸術家ならぬ小さな芸術虫と気付く。これはエネルギー充満の葉をいただくことへの感謝のしるしかもしれない、とまたつまらぬことを連想していた。
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