空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

イレギュラーな人たちを包容し包摂するリソースはある?

2019-07-22 23:18:47 | ノート



 そりゃそれで結構な見解だが、あらゆるひとを包容するためのコストってきっついですからね。極端に外れた値を示す個体を排除するというのは、社会をやってるからには、ほぼ不可避ではあろう。実際のところ。

 あらゆる人がいきいきと―とか、宗教や政党の選挙スローガンでは言うだろうが。
 もちろん、社会保障・社会福祉―を増強すべきとは私も言うが。
 そりゃあ防げたり、軽減されたりもするだろうが。

 ―「健康で文化的な最低限度」を保証されたとして、さて、それで納得・我慢できるというなら、こうはなっていないわけで。
 自己の尊厳の確認というのはかなり社会的な認知によったりするわけだろうし、それはそれで結構希少な資源なのだ―そんな資源の争奪の闘争は、結構キッツイものになるかなあ、とか。

 今回の犯人氏の場合、どーも彼の脳内に展開されたらしきイメージをだれかが掬い出し、彼の名で発表してあげればよかった、ということになりかねない。そうなら「パクリ」という罵言はでなかったかもしれない。しかしなあ、ふつうは脳髄を絞って手を動かしたひとに製作者という名誉・社会的認知が発生するんであってなあ。

 ふと思い出してしまう『銀河英喩伝説 黎明篇』(創元社文庫版)p.299である:

「それにはどうするのだ?」
「逆らってはいけません。挫折感や敗北感をあたえてはいけません。誰もが彼の言うことにしたがい、あらゆることが彼の思うようにはこばなくてはなりません」
「……本気で言ってるのかね、軍医?」
「これはわがままいっぱいに育って自我が異常拡大した幼児にときとしてみられる症状です。善悪が問題ではありません。自我と欲望が充足されることだけが重要なのです。したがって、提督方が非礼を謝罪なさり、粉骨砕身して彼の作戦を実行し、勝利をえて彼が賞賛の的となる……そうなってはじめて、病気の原因がとりさられることになります」
「ありがたい話だな」
 ビュコックは怒る気にもなれなかった。
「彼のヒステリーを治めるために、三〇〇〇万もの兵士が死地にたたねばならんというのか? 上等な話じゃないかね。感涙の海で溺死してしまいそうだな」
 軍医は力なく笑った。


 フォークは排除されねばならなかった。

 またたとえば、オウム真理教は排除されねばならなかった。
 オウム真理教、松本教祖が奇怪な陰謀論に染まらないためには何が必要だったか? 少なくともまあ、選挙でそれなりの勝利を収める必要があっただろう。その(社会的)コストは誰がどのように担うべきだったというのか。

 …ある閾値を超えると、統合を諦められてしまったりするのだ。そしてそれが正当なことだと評価され、納得されてしまうのだ。どこまでが正義に適い、どこからがそうでないのか―それは延々考えられつづけ、今後も考えられていくところのなにものかなのだ。
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