空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

焼肉屋さんの食中毒の件10:常識的には証拠隠滅行為で,超黒確定ですが

2011-05-11 17:43:03 | ノート
毎日新聞 生肉食中毒:店納入前に汚染か 2県で菌の遺伝子型一致 毎日新聞 2011年5月11日 9時51分(最終更新 5月11日 10時16分)

 件の「集団食中毒事件で、死亡した富山、福井両県の6歳の男児2人と、富山県内の感染者3人から検出された菌の遺伝子型が一致したことが10日、同県などの調査で分かった」。…(中略)…「富山県などによると、男児2人と同じ遺伝子型の菌に感染したのは、砺波(となみ)店(富山県砺波市)で食事した30代男性と、10~20代の女性2人。うち20代女性は遺伝子の配列が部分一致した」。

 続く一文の「既に、亡くなった福井市の男児は4月17日に同市の福井渕店、富山県高岡市の男児は同月22日に砺波店でユッケなどを食べ、遺伝子型が一致していた」は少々難。「既に」がコンマで切られており,最終的には「一致していた」に係る副詞のように見えるが―どこに懸けたいのだ,これは。

「既に死亡した,4月17日に同市福井渕店で食事した男児と同月22日に砺波店で食事した富山県高岡市の男児とから検出された菌の遺伝子型は一致することが分かっている」か。

 なお砺波店・23日の犠牲者のうち,70歳女性からはO-111が検出されたが43歳女性からは検出されなかったという。43歳女性の血清からO-111の抗体が見つかった(それゆえ,O-111食中毒であろうと推定されよう)が,抗体から遺伝子検査をするのは不可能と言う。

 何れにせよ,汚染もとは卸業者にあるという判断のもとの行動。

 11日,卸業者への家宅捜索。業務上過失致死容疑。
日経新聞 食中毒、卸業者を2度目の捜索 業務上過失致死容疑 2011/5/11

朝日新聞 ユッケ食中毒、食肉卸会社を捜索 菌感染ルート調査へ 毎日新聞 2011年5月11日11時2分

 (前略)…「富山県警や警視庁などの合同捜査本部は11日午前、業務上過失致死容疑で、食肉卸会社「大和屋商店」(東京都板橋区)の家宅捜索と現場検証を始めた。食中毒の原因とみられるユッケの納入元でO(オー)111など腸管出血性大腸菌の状況を調べ、感染ルートの解明を進める方針だ。捜査本部が同社を強制捜査するのは6日に続き2回目。業務上過失致死容疑での立件には菌の感染源の特定が不可欠と判断した。今回は菌の発生状況の確認に重点を置き、菌が採取されればDNA型鑑定し、患者から検出されたものと照合する」(後略)。

読売新聞 ユッケ集団食中毒、食肉卸業者に2回目の捜索 2011年5月11日11時31分 読売新聞

保健所の立ち入り検査などでは、大和屋から菌は検出されていないが、この日の捜索では、感染ルートを特定するため、肉の加工場や従業員用ロッカーなどを調べるほか、菌が付着している可能性のあるまな板や包丁などの調理器具も押収する方針

 なおまな板・包丁などについては―

北日本新聞 同種肉、えびすのみ発症 集団食中毒、他店は加熱・表面削除か 2011年05月11日 02:00

また、大和屋商店が、大腸菌などが付着した恐れのある牛の内臓処理に使ったのと同じ包丁やまな板で、他の部位も加工していたことが判明した。O111など腸管出血性大腸菌は牛の腸内に生息しているとされ、合同捜査本部はこうした対応が生肉の汚染を招いた可能性もあるとみて、社長らを任意で事情聴取して調べている

 …確かに「生食用の肉は出していません」という建前だが,少なくとも営業さんは生食用で契約を取ってきている模様である。多少の気遣いは欲しいところだが。

MSN産経 卸業者を再捜索 サンプル採取で汚染源の解明急ぐ 2011.5.11 09:29

富山県警や警視庁などの合同捜査本部は11日午前、業務上過失致死の疑いで、原因とみられている生肉の卸元「大和屋商店」(東京都板橋区)への2度目の家宅捜索を始めた。感染源は判明しておらず、合同捜査本部は加工場や調理器具からサンプルを採取、腸管出血性大腸菌O(オー)111などの汚染がなかったか、改めて鑑定に乗り出す

 私は今のところ,汚染はなにかしら偶発的なものだったのではと思っている。まな板などからして汚染されていたなら,複数日出荷分で「そう」なるだろう。ところが発症原因(となったと推定される)の肉の出荷日は,非常に限定的である様子であるからだ。

 交雑種肉の混入については,上掲北日本新聞が:

ユッケに使われた牛もも肉に交雑種が含まれていた問題について、大和屋商店が板橋区保健所に「ラベルには『国産牛もも(交雑種)』と表示し販売していた」と説明していることも分かった。大和屋商店は仕入れた和牛だけで同チェーン店からの注文量を賄えない場合、同業者から交雑種の肉を購入し対応していた。フーズ・フォーラスは「交雑種が入っていると知らなかった」としている

 と報じる。
 大和屋商店については,(仮にも一応)和牛を提供すべきところ,足りない場合には交雑種を他業者から仕入れてまにあわせるのは,商売の道に反すると評するべきだろう。

 なお,フーズフォーラス社本部はまた別種の道をゆく。自前での品質管理を全く放棄し,事実上,大和屋店を自社の倉庫として使っていたわけだ。各店舗は大和屋商店から直接供給をうけ,そのラベルについても各店舗しか知らない。本部は全くこれに関知しない/できない/する気がない。

朝日新聞 保健所の生肉トリミング指導放置 食中毒の運営チェーン 2011年5月10日15時0分

市保健所によると、昨年6~9月、食品衛生法に基づいて金沢市内の同チェーン5店に定期検査に入った。その際、生食用と表示のない肉は提供しないよう指導。ユッケとして提供されている肉の加工手順を確認したうえで、汚染防止のため、飲食店などにトリミングなどを求めた厚生労働省の衛生基準を守るよう指導したという。フーズ社幹部によると、本社は店が保健所から指導を受けたことは知っていたが、その後も基準を満たしたトリミングを実施するよう店に指示することはなかったという

 フーズフォーラス社本部は,保健所の指導の存在を知っていながら―

同社は取材に対し、卸業者「大和屋商店」(東京都板橋区)から真空パックで仕入れており、「トリミング済み」という認識だったと説明。同社の担当者は「こうしたパック済みの肉についても、さらに表面を削る必要があるのか、保健所から明確な説明はなかった」としている。保健所も改善されたかどうかの確認はしていなかったという

 …フーズフォーラス社は『この肉はトリミングされたはずだと思われるので自分たちでしなくてもいいよね?』と問い合わせなかったのだろうか? 何れにせよ「生食用」表示がないものを生食用に使用するなという指導を,その指導と同時に出されたトリミングについての指導に対する疑念の故に,ひとくくりに纏めて無視したわけだ。

 …自分の都合のよいように,諸種契約・諸種指導を適宜読みかえる,大変自由奔放な企業風土が見えます…が。

毎日新聞 焼き肉店集団食中毒:ユッケ加工、簡略化 焼肉酒家えびす、卸業者と取引直後 毎日新聞 2011年5月8日 東京朝刊

フーズ社の「精肉加工マニュアル」によると、大腸菌などが付着する恐れのある生肉の表面を削り取る「トリミング」は、(1)パックを開ける(2)表面のドリップ(水分)をペーパーで拭き取る(3)表面の皮、脂、筋の取りきれていない部分があればきれいに取り除く--と定めている。改定前のマニュアルでは、(3)が「表面の皮を取り除く」と記され、表面全体をほぼ除去することになっていた

 なぜ簡略化が可能であったかという理由を,フーズフォーラス社は,トリミングは大和屋商店で行う旨,契約にあったからだと主張する:

フーズ社によると、大和屋商店との取引開始当時、大和屋商店がトリミングをするとの契約を交わしたといい、契約後のフーズ社の会議では「トリミング加工がいらなくなる。常温にさらされる時間が少なくなり、より安全になる」と各店長に説明があったという。フーズ社関係者は、「トリミングは、筋などを除去するものと認識していた。赤身には菌がなく、安全な肉が納品されていると考えていた」としている

 そういう「契約を交わした」のなら,トリミングをしないするはずがないということで一貫している大和屋商店のこれまでの説明は一切「アウト」だ。

 警察はマニュアル分析とともに,契約実態をも調査するとしている。
 そう,この場合,契約書の中身と実態との確認が必要だ。一次ソースなくしては隔靴掻痒でしかない。実証的に検討するには…なにはともあれ予算が必要(さらに,予算を勝ち取るだけの実績が必要)。

朝日新聞 ユッケ食中毒、発覚直後に廃棄指示 運営会社、各店舗に 2011年5月10日8時14分

運営会社「フーズ・フォーラス」(金沢市)が、最初の食中毒発生の連絡を富山県から受けた直後に、開封済みのユッケ用生肉の廃棄を各店舗に指示していたことがわかった。同社が9日明らかにした

 常識的には証拠隠滅行為で,これだけで超黒確定ですが(絹旗)な気分だが―

フーズ社は「証拠隠滅をする意図はなかった」としている。幹部の一人は朝日新聞の取材に対し、「(食中毒で)いずれ営業停止は避けられないと判断し、売れない肉を取っておく必要がないと思って廃棄させた」と話している

 …この「売れないから捨てちゃおうね」というとてつもなく子供だましの言い訳が,しかし,この会社の場合,全く掛け値なしに本音である可能性さえ私は想定する…。
 まあ裁判ではアウトでしょうけど(適当)。

富山県によると、同県高岡市の6歳の男児(後に死亡)らが4月22日、砺波店で食事した後に食中毒になったとして、県は27日午前、フーズ社本社に連絡、砺波店を立ち入り検査した。同社によると、直後の同日午後3時ごろ、本社が砺波店以外の全店舗にユッケの販売中止を命じ、真空パックから開封したユッケ用の生肉について「賞味期限が切れて腐るので捨てるように指示した」という

 …冷蔵庫のなかで腐らせたりしたら,衛生管理上問題だから,という,そーいう理由をリアルに主要な理由として考えていたのではと私は思う。
 そのくらいの水準の経営だったんではーと,なんともそのように思えてしまうほど,お粗末な印象を受ける…(泣

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