イェメン情勢：国家非常事態，将軍たちが大統領から離反，諸氏族動く

イェメン：

　英国外交部は駐イェメン大使館関係者を，コア人員を除いて国外退避とする：

BBC　Yemen unrest: UK embassy staff withdrawn for safety 23 March 2011 Last updated at 22:54 GMT

　もちろん理由は治安悪化。
　治安は加速度的に悪化している模様。金曜（18日）には，サナアの医師らは正体不明の男たちが反政府デモ隊に銃撃し，少なくとも45名を死亡せしめ，270名を負傷させたのだとBBCに語っている。

　これに先立ってイェメン国会は30日間の国家非常事態を宣言：

BBC　Yemen parliament imposes state of emergency 23 March 2011 Last updated at 12:39 GMT

　一応賛成多数ではあるけど，301人定数のところ160人ほどしか集まらないのはどうか，ということはある。なお野党はボイコット。独立系議員もボイコットなのはいいとして，与党からもボイコットが出た模様。

　大統領は，反対派は彼に対してクーデターを仕掛けようとしているのだとして，「内戦に，血みどろの戦争になりかねない」と警告する。

　上掲BBC記事中にもあるが，有力な将軍も反大統領派に回った：

BBC　Top Yemeni general, Ali Mohsen, backs opposition 21 March 2011 Last updated at 16:41 GMT

　Saleh大統領の長年の同僚，Ali Mohsen al-Ahmar将軍である。さらに他に2名の高級指揮官が辞任したという。彼らはSaleh大統領のHashid氏族に属する人物だそうで―大統領の支持基盤が一つ一つ崩れていっているのも事実なのだろう。

　同氏族（の一部？）は，このAhmar将軍をSaleh大統領の後釜に据えるつもりでいるとのこと。

　一応，大統領は平和裏に権力移譲したいのだというコメントは出してますが：

Saba net President Saleh keen on transferring power peacefully 23/March/2011

　…内閣を総辞職させたものの，そのまま臨時に任につかせていたりするあたり，改革に応じるつもりはあまりなさそうですよね，Saleh大統領。宗教指導者・諸氏族指導者の要請もあるようですけど…。
　で，出た妥協のための提案は：

Saba net President accepts opposition proposed five points 23/March/2011

　5点。

　1：新政府形成。これは諸派横断的である（of national unity）。新憲法形成のための委員会設置も任務のうちである。

　2：適切な代表者リストに基づく選挙と国民投票法への言及。

　3：選挙および国民投票最高委員会の再選任。

　4：新憲法への投票。

　5：新議会議員の選挙。これは新しい政府をつくるため，また新大統領を選出するためのもの。2011年末に予定。

　…これをたたき台として利用するには，犠牲者があまりに多すぎる気がするかな。