空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

スレミオ結婚記述削除の件

2023-07-29 11:21:53 | Newsメモ
 スレッタ・ミオリネの結婚について公式雑誌アカウントが明言し、しかしのちに削除されたとのこと。
 その意味について―







 とまあ、ことは政治的な問題なのである!という意見が噴出している様子。
 すべてのことは政治的である!というのは、それはそれで見解ですが、どういう意味で・どういう位相で政治的なのか、その分析の腕前は問われることだろうとはメモしておこう。







 とまあ。

 要は、これはガンダムの話なのであって、ガンダムに無関係な文脈に利用されるのは好ましくない、という判断もありえるわけである。
 なにしろLGBT問題はホットにヒートにマーベラス!って感じに盛り上がるわけで、その一時の流行に消費されたくないなーというのは、息の長いシリーズに携わる者としては十分ありえる。…ここで「一時の流行とは何事だ!」と吹き上がるなら「そーゆーとこだぞ」というわけだ。今の日本のLGBT問題はLGBTと同定した者たちおよび「それに寄り添う」者たちの論題になってしまっている局面があり、おかまやホモという名称で自認しているひとびとをほったらかしに・敵対している点、課題として挙げるべきところがあり―。

 そうした直近数年の盛り上がりとは距離を取ろうというのは商売の上でありえる。









 多分、これが正解。

 まあその、ここ10~20年ほどの社会運動一般に対する信頼度の表明という点では政治的だなあとは言える。…深刻な問題ですけどね。「どうせおまえら、飽きたら捨てて他の論題で大騒ぎするだけだろ?」と言われているんですよ、これ…。「10年持つコンテンツじゃないだろ、それ」と…。

 別の言い方。
 作中で延々同性愛・同性婚を肯定しまくってきた作品でしょう。だから同性愛・同性婚を否定などしていない。むしろ積極的に肯定しているわけだ。そうした作品の、作品外のコメントで同性婚の表現を削除したことは、さて同性婚の忌避なのか、どうか。いや、その「同性婚」の文言に近寄ってくる運動家を忌避しているのではないか。

 この際、真に否定・忌避されているのは何か・誰か。今現在のその種の運動・運動家なのではないか。
 そしてそれが通ってしまったのは「所詮、長続きしない・勢力のない運動だよ」という判断なのではないか。

 その判断に対して「それは同性愛・同性婚を否定しているということか」と吹き上がるなら、それは違う。スレミオの関係を美しくうたい上げている作品であることは確実だろう。そのほかカップルも、単に自然に、ただそうあるように、まったく普通に描かれているはずだ。

 だから「否定・拒否されているのはお前らだ」ということになってしまうだろう。「私は当事者なのに!」という人がいるかもしれない。そうした場合には「せやから、お前の運動方針を忌避しているんだ」という回答になるだろう。

 さらに言えば、ガンダム制作側は「我々こそが次世代の価値観の基礎となるであろう」と自信を持っているのだろう。
 たかが10年もたない運動などと心中はできない。界隈が好きそうな反原発なり何なり、持たなかっただろう。そんなものと心中はできない。
 そうではなく、10年以上愛される作品を我々は作った、それによって進む一般の理解の方が、より作品のメッセージを伝えるうえで重要なのだ―と。そういう判断だっただろうと。

 そんな観点でいえば、今回の判断の政治性というのは「現行、元気に運動している運動家たちに対する(こりゃダメだ、という)評価」という点で政治的なのであって、この点から目を背けるのは運動家側に大変マズいとメモしておこう。
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