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てらまち・ねっと



 フェロシルト問題の石原産業と三重県の前北川知事に関して、「これなら無駄なく導入できるISO14001・ISO9000・OHSAS18001・トヨタ生産方式・生産管理IT化。」 と題する 西沢総合研究所 におもしろい評があります。
 内容が充実しているので、リンク切れしてもいいように、チョッと長いですが、ほぼ全文を紹介します。
 企業が、「ISO取得」とかと宣伝することが多いのですが、裏側も見えてきます。
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   石原産業のISO14001(H17年11月2週号 号外)
 1970年代に公害問題を起こした企業として有名になった石原産業がまた、産業廃棄物問題を起こし、三重県に刑事起訴された。同社は、1998年には、ISO14001を取得していたが今回の問題のせいか、10月末に認証を取り下げている。これもおかしな話である。
 三重県は、公害企業が多いだけに、前の知事の北川さんがISO14001に熱心であったが、問題も多かった(後掲※)

1.問題点
 今回は、同社が2001年頃から開発したリサイクル商品「フェロシルト」が問題を起こした。これは、埋め立てや造成で土砂の替わりに使う埋め戻し材である。主原料は、同社の四日市工場で出た廃棄物の汚泥である。商品名は英語の「フェライト」(地鉄)と「シルト」(砂と粘土の間の細かさの土)を組み合わせた造語。主に、三重、岐阜、愛知などの埋立地に使われてきた。
 それが、実はリサイクル過程で、有毒の六価クロムの発生があること、そして、この「フェロシルト」を売るときに、工場内の他の産業廃棄物を混ぜていたこと、そのためか、1トン150円の販売価格なのに、産廃処分許可のない四日市市内の業者に、「運搬費」名目で1トン約3000から5000円を上乗せして支払い、フェロシルトの処分を委託した疑い(このほうが正規の産廃としての処理費用に比べると半額以下)などのようである。
 これらの虚偽は、元副工場長個人の行為であるとして、社長は組織的な問題でないとしている。しかし、元副工場長は当時から工場長(現社長)には口頭で報告しており、組織でやったと言っているという。この当時のISO14001の環境目標は、大幅な産廃量の節減となっていたようだ。こうなると組織がらみである。
 なお、このリサイクル製品「フェロシルト」は、リサイクルを歓迎している三重県でも最初は好意的であったようで、県が推奨するリサイクル商品として容易に認可さており、それがまた、問題になっている。

2.現象
 問題の発端は、昨年十二月、愛知県瀬戸市の住民が、埋め立てで使用されたフェロシルトが川に流出し、放射能が出ていると告発したのがきっかけだ。しかし、測定の結果は、微量であった。
 その後、投棄した場所から赤い土が出るということから、調査したら高度の六価クロムを検出した。こうして、三重、岐阜、愛知にわたる広大な地域に投棄された膨大なフェロシルトの処理が問題となった。こんな議論が、この一年ほどゴチャゴチャ続き、石原産業の対応が煮え切らないのか、三重県がついに、刑事告発にふみきったようだ。
 石原産業は今期経営黒字の予定が一挙に赤字となり、無配当になった。
 フェロシルトが最も多く使われた愛知県瀬戸市は愛知万博瀬戸会場があったところである。10月28日の東京新聞の特集「中部各地で赤い土」によると同県の環境保護団体「ダイオキシン・処分場問題愛知ネットワーク」の吉川三津子代表は
「瀬戸は六十カ所の処分場を抱える国内でも有数の産廃銀座。私たちは三年前から、愛知万博は産廃に囲まれて開催されるということを訴えてきた。なぜ今になって行政や石原産業の動きが激しくなってきたのか不思議だ。万博終了を待っていたのかと勘ぐりたくなる」と強調し、こう訴える。
「万博では酸化チタンによる光触媒で建物が汚れない、環境に優しいとピーアールしていた。しかし、まさにその足元で、酸化チタン製造過程で出たフェロシルトが大量に使われていた。究極の矛盾だ」。

3.マネジメント不在・ISO14001との関係不明
 今回も、副工場長の個人的な違反問題だという会社側の説明のようだが、システムで動いている会社にそれはないであろう。またまた、マネジメント不在、『鵜匠』不在であり、責任を『鵜』に転嫁しようとしているのか。『鵜匠』の職業的なプライドはないのか。
 それにしても、石原産業が取得した環境マネジメントシステムISO14001は、1998年以来、この副工場長の虚偽的な行動の間、どのように機能していたのか。ISO14001取得を強調した県の調査ではふれられていないようだ。新聞記事にもない。
 しかも、同社はISO14001認証を取り下げたという。マネジメント問題なのだから、取り下げるのでなく、マネジメント不在の原因を調査して、PDCAにつなげるのが、ISO14001を認証した原点ではなかったのか。今こそ、PDCAをまわすのではないか。
 PDCAの原点の理解不足が、形ばかりの「勲章」としてのISO14001取得となり、逆にマネジメント不在を生み、そして、取り下げとなった。ますます、マネジメント不在となる。
 このような重要な問題でトップが「担当任せで私は知りません」ということのないように、アメリカの不正会計の対応のように、社長の署名を要求し、虚偽の場合は同罪としないと「トカゲの尻尾切り」だけとなり、どこかでまた、マネジメント不在が再発するかもしれない。
 日産のゴーン氏がいう。「日本にないのはマネジメントだけだ。」
 新聞記事も同じである。

 ※ 「審査機関の営業停止続くか? (H14年1月3週号)
 JABのホームページによると、審査機関に対して業務停止の指示が出ている。審査の質の低下が理由のようである。こういう状態は、企業側が形だけの認証をもとめると発生しやすい。氷山の一角である。日本経済が悪くなっているときに追い討ちをかけることになる。
 (株)国際規格審査登録センター(ISC)に認定の停止が出た。ISO14001の認定停止である。
 ISCは、三重県にある審査機関で、三重県の仕事の供給者にはISO14001取得が必要であるということから、この審査機関に申し込みが殺到し、審査員が足らず、審査がいいかげんになったようである。この審査機関は北川三重県知事がトップだそうで、県議会で同知事の釈明があったという。すでに事前に警告がJABからあったものが知事に伝わっていなかったようである。北川知事は革新知事として知られ、環境についても先進的な方針を出したのであろうが、審査システムの陰の部分を配慮しなかったのか、意図と異なった結果になったようである。
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