●不正経理:20府県5市で50億円 毎日新聞まとめ
毎日 2009年10月14日
自治体の不正経理問題で、会計検査院が今年度と来年度に検査する方針を示している35都府県18政令指定都市のうち少なくとも28都府県11市が内部調査を実施し、このうち20府県5市の不正経理の総額が50億円超に達することが、毎日新聞のまとめで分かった。【苅田伸宏、松谷譲二】
◇「横着」「システムの問題」
検査院は今年度、35都府県18政令市のうち26府県2市を検査し、総額二十数億円の不正経理を指摘する方針だが、検査対象は原則として03~07年度の国土交通、農林水産両省の補助金関連に限定。一方、自治体の内部調査は、対象に他省庁分の補助金などを含めたり対象期間にも広がりがあるため、検査院の指摘額とは開きがある。
20府県5市約50億円の不正経理の内訳は、先月公表した千葉県が約30億円▽昨年に裏金が問題になった大阪市が5億3832万円(確定分)▽昨年から今年にかけ複数回公表した神奈川県が2億7264万円▽毎日新聞の取材で判明した石川県の2億数千万円▽今年2月まで複数回公表した静岡市の2億18万円▽同じく新潟県の1億5811万円▽今年3月に公表した奈良県の1億5805万円--など。
不正経理について、石川県出納室は「架空発注を防ぐため各部局が出納室に支出を求める書類に納品書添付を義務づけ、物品購入を確認するようにした。今回の事態を受け、総務部内にチームを作って職員の意識改革など再発防止策を検討する」と反省。
千葉市財政課も「正式な予算流用手続きをした上で正々堂々と予算を使えばいいが、中には横着者もいる。決裁で手続きが面倒くさいとか、意識の問題が職員にあった。市もその横着を見抜けなかった」と話す。
一方で「国庫補助金は使い切らないと次年度の予算を取るのが難しくなるという意識が職員にあった」(奈良県幹部)との見方も根強く、茨城、滋賀、島根、鳥取各県も、単年度会計を巡る職員の意識に要因があったとみている。
福井県の吉村治会計管理者は不正経理の金額については明らかにしなかったが「これだけ全国で起きているということは、経理処理のシステムに問題があるということだろう。どのように再発防止策を立てるかが課題だ」と、「単年度使い切り」などシステム自体の課題に言及。
山梨県の横内正明知事は「補助金の対象が非常にあいまいで、役所によっても対象が違う。きちんと基準を決めてもらいたい」と指摘した。
<自治体が内部調査で不正経理とした額>(単位は円)
秋田県 201万
山形県 370万
茨城県 3142万
埼玉県 3906万
千葉県 29億7914万(検査院指摘は約11億)
神奈川県 2億7264万
新潟県 1億5811万
山梨県 2700万
(検査院指摘の額)
石川県 ※2億数千万
三重県 4819万
滋賀県 1億1403万
大阪府 9258万
奈良県 1億5805万
鳥取県 2500万
徳島県 ※3300万
香川県 940万
高知県 3930万(検査院指摘は3491万)
熊本県 9472万
鹿児島県 81万
沖縄県 2778万
千葉市 ※数十万
静岡市 2億18万
浜松市 224万
名古屋市 6249万
大阪市 5億3832万
※は毎日新聞の取材で判明。
神奈川、新潟両県と静岡、浜松、名古屋各市は今年度の検査対象外 |