平成20年11月19日判決言渡
平成17年(行ウ)第7号(甲事件),同第8号(乙事件)泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件
判決骨子
第1差止め請求(甲事件,乙事件)について
1甲事件(被告県知事)の差止請求のうち,口頭弁論終結日までに終了した財務会計行為に係る部分は,不適法として却下する。
2乙事件(被告市長)の差止請求に関し,差止請求の要件である,財務会計行為がされることが相当の確実さをもって予測される場合に当たるか否かについては,本件埋立事業の進捗状況や}被告県知事と被告市長との間の協定の存在,被告市長(現沖縄市長)が平成19年12月にした方針表明も,第1区域について,見直しの具体的な検討結果を提示することなく,本件埋立事業の進捗状況に照らして推進せざるを得ないとしていることなどに照らせば,被告市長が本件海浜開発事業に係る公金の支出等の財務会計行為を行うことが相当の確実さをもって予測される。
3現時点においては,第1区域について具体的な土地利用計画は何ら定まっておらず,また,第Ⅱ区域についても見直す(計画を撤回する)というものであり,沖縄市が行う本件海浜開発事業は経済的合理性を欠く。
また,沖縄県が行う本件埋立事業についても,本件埋立事業等の中心目的が泡瀬地区にマリーナ・リゾートを建設しようとの沖縄市の施策実現にあることからすれば,本件海浜開発事業が経済的合理性を欠く以上,本件埋立事業の経済的合理性を認めることはできない。
4以上から,各差止請求は理由がある(ただし,公金支出の前提となる契約の締結等の支出負担行為が存在し,本判決確定時までに支払義務が生じるものを除く。)。
第2損害賠償請求(甲事件)について
1前沖縄県知事稲嶺惠-に対する損害賠償請求の義務付けの請求は,監査請求期間徒過により不適法となる部分を除き,その対象となる本件支出負担行為等が地方自治法2条14項や地方財政法4条1項に違反するものとはいえず,また,本件埋立免許及び承認が公有水面埋立法4条1項1号ないし3号に違反するものということもできないから,違法ということはできず,理由がない。
2国に対する損害賠償請求の義務付けの請求は,本件環境影響評価は違法といえず,本件埋立免許及び承認も違法といえないから,国の損害賠償義務は認められず,理由がない。 |