予告通り、今日は水曜日のライドで乗った新私情車、TRANSITION / TRANSAM 29(94,500円/フレーム&FSA製テーパードヘッドセット)のお話です。
 今回ライドしたトレイルは、アイス、スノー、舗装路、そして落ち葉の積もったドライと変化に富んだコンディションだったので、いろいろなシチュエーションで乗ることができました。長いアプローチの登り、急な登り、ラフな下り、アップ&ダウン、比較的タイトなカーブ、ハイスピードなセクションと多彩にわたります。

 以前、26インチのTRANSAMでライドしたときに感じた、取り回しの良さというか、バイクコントロールの楽しさはそのまんま受け継がれているなあとまず思いました。それに加えて、26インチモデルでちょっと気になった、ラフなところでもグングン行きたいけどちょっと前につんのめりそうという感覚、ヘッドアングルや視覚的なものによるものなのですが、そういう感覚が29だと消えてました。いや、まったく気にならなかった。ということは、さらにラフなシチュエーション、大きな段差のある場所やガレ場、根っこセクションでも走破性が高まった上に、チャレンジしたくなるような余裕をもたらしてくれます。
 このバイクのコンセプトである「オールマウンテン」というライディングスタイルには、この「どんなとこも走っちゃおう!」はとっても大事な意識。TRANSAM 29は、26よりもよりそのスタイルに近いライディングスタイルで楽しめるバイクだなと思いました。

 今回、TRANSITIONから発売されているビルドキット(252,000円/フレームを含むコンプリートキットです※訂正しました!)をベースに組みました。フォークはFOX / 32 TALAS 29 120-95 RLC 15QR TAPER(フォークだけ別注品、本来のビルドキットでは32 FLOAT 120 RLC 15QR TAPERとなります)、ドライブはSRAM / X7、ブレーキはAVID / ELIXR 7、ホイールはTRANSITION / REVOLITION 28、タイヤはMAXXIS / ARDENT 2.25、クランクはTRUVATIV / STYLO、ステムはTRUVATIV / AKA 60㎜、ハンドルバーはKORE / TORSION TRAIL 740W-35㎜UP、サドルはTRANSION / PARK’N RIDE AMなどなど。

ハンドルバーのライズが35mmと高めなので、実際に測ってみたら地面からハンドルのエンドまでの高さが120mmトラベルの時に1050mm、GIANTのANTHEM X 29erの試乗車も測ってみると1045mmだったのでけっして高くないなと。ちなみに同じく試乗車のTURNER / 5 SPOTは1025mmでした。5 SPOTと比べてもわずかハンドルバー1本分ぐらいしか高くなくて、乗った感じでもこの高さがかえって悪くなく、上体のポジションに余裕を与えてくれて、とくに斜度のきつい下りでもコントロールがしやすかったのと、視界が広がった感じがしました。

 登りでは、今回装着したTALASが役立ちました。久しぶりに使ったTALAS、通常は120mmトラベルのままでライドして、長い登りでは95mmにトラベル量を小さくすることにより、ハンドルの位置も25mm分下がるので、登りで楽なポジションをばっちり確保。このバイクにTALASはあってる!。で、やっぱりいいなあFOX 2012。あまりにいい仕事をし過ぎて、ストロークしているんだかいないんだかわかりません(笑)。それだけ動きがスムーズということ。今回も飛べるところは飛ぶいつものスタイルで走ったのですが、ライド後にフォークのインナーチューブの汚れ具合をみたところ、約20mm程使っていない領域が。100mmのストロークの間にサスペンションフォークが通常やるべき仕事をこなしちゃっているんですね。あとの20mmはよっぽどの時の安全マージン。

 TRANSAM 29は26同様、メイドインジャパンのクロモリチューブをフレーム素材としています。けっして軽いフレームではありませんが、だからといってジャンプバイク用のフレームにたまにある壊れないけど乗り味も硬い、ではなく、若干のしっとり感を、とくにリアの縦方向に持っている感じがしました。これはギャップを利用してパンプ(プッシュ&プルね)するようなシチュエーションで特に感じました。そして、142mmのリアエンド幅と12mmのスルーアクスルの最新の組み合わせでのリアの剛性感ですが、ギャップを通過しながらカーブするとか、下りやハイスピード時のバイクコントロールがばっちり決まるというか、楽しかった。REVULUTION 28ホイールは剛性が高いのがちょっと乗っただけでわかります。このバイク、全体的なバランスがいい。バニーホップできるし、状況によって前乗りも後ろ乗りもしやすいし、お世辞抜きで相当楽しいバイク。まさにオールマウンテンという言葉がぴったりなハードテイルバイク。重量が重量なのでガンガン登るわけではないけど、むしろラフな登りをコツコツ登ることを楽しんで、おいしいところをおいしく走っちゃおう的なバイク。また、たとえば富士見のBコースとかで乗っても面白いと思います。Bコースをハイスピードで攻めるんじゃなくて、地形を楽しみながらなんていうかトライアル的に下ってくるとか。うん、絶対に楽しいと思う。そういう使い方もありだと思います。
 徐々に浸透してきた29ホイールのマウンテンバイク。クロスカントリーレースやエンデュランス系レースではたぶん当たり前の存在になっていくと思いますが、このTRANSAM 29が目指しているところは、とにかく楽しいライディングのための道具というそもそものマウンテンバイキングだと思います。ホイール径が26だろうが29だろうが、なんでマウンテンバイクに乗っているのかと言えば一言「楽しいから」。その楽しい乗り物を具現化すると、こんなのもありなんだよ!というバイク。またひとつマウンテンバイクシーンに広がりができました。
お店に試乗車おいてあります。ぜひ試乗してみてください。