火防守護の総本山として知られる「秋葉総本殿」。日本で唯一『三尺坊様御神体』が祀られます。
「可睡斎・本堂」の左手にある石段参道を上がった先が「御真殿」と呼ばれる「秋葉総本殿」。
黄金色に輝く「秋葉総本殿」の扁額は、『有栖川宮幟仁(たかひと)親王』の御宸筆。 拝殿幕の社紋は「剣花菱」で、社伝によれば『武田信玄』の寄進と伝えられています。
武田の軍勢に追われた家康を匿って10万石の知行を得た「可睡斎」と、信玄寄贈の「剣花菱」。事実、奥には「三つ葉葵」の幕紋が染め抜かれているそうで、何となくむず痒いような・・微妙な感覚(^^;)
【秋葉総本殿可睡斎にお祀りしてあります秋葉三尺坊大権現様は、今から1300年の昔、越後蔵王権現堂の12坊の1つである三尺坊という僧坊で厳しい修行を重ね、秘密奥義を極めて神通力を得、観世音菩薩33化身の1つであります。樓羅身(るらしん) を現じられました。かくして、秋葉三尺坊様は、衆生済度のため、失火延焼の難を逃すことを第1に、三大誓願をおこし火防の霊場を開かれました。
秋葉三尺坊大権現様の御真躰は、明治6年に秋葉山秋葉寺より遷座奉安され、以来秋葉三尺坊大権現鎮座火防霊場として、全国より信仰を集める祈祷の道場として、日々火防と人々の幸福を祈願しています。】
案内板文中にある「樓羅身(るらしん)」は、「迦楼羅神(かるらしん)」の事だと思われます。
向拝の木鼻に施された彫刻を阿吽の唐獅子と牡丹。ここでは獅子が牡丹の花を咥えています。
貫などの獅子は阿吽で一対。ボタンを咥えていたら口を開けられないのではと心配されませんように(⌒∇⌒) 阿の獅子の牡丹は満開、吽の獅子の牡丹は蕾。花の姿で阿吽を表すのも、職人の粋な技。
拝殿彫刻の圧巻は、向拝柱から本柱にかかる左右の海老虹梁(えびこうりょう)。ここにはまるごと昇龍の彫刻が施されています。
爛々と火を放つかのごとく光る眼、逆立つ鱗、鋭く尖らせた爪は宝玉を求めて力強く弧を描きます。 これだけの緻密でダイナミックな龍が、一本の木から彫り出されている・・、まさに神業。
真下から見上げた昇竜の胴体部分ですが、逆巻く波間から覗く姿はむしろ恐ろしいほどの存在感。 これが頭上に現れたら、絶対に「人生・・終わった」と、諦めの境地になるかもしれません(;_;)
あまりの凄さに思わず参拝を忘れそうになったほどですが、写し手の腕の悪さは如何ともし難く。 あとは想像力を駆使していただくか、いえいえ、是非とも現地で実際に見ていただくのが正解です。
海老虹梁の昇竜にばかり目を奪われがちですが、その上にある「持ち送り」の彫刻も見事。 常緑樹であり、目出度さの象徴とされる「松」と、高く空を翔け、力強さの象徴とされる「鷹」。
羽毛の一筋までも細やかに再現されており、その姿は見るものの想像力を掻き立てて止みません。
向拝の扁額の横にあった(と記憶)「海亀」、これも吉祥の象徴ですが、反対側は写してません。 多分、写したいものが多すぎたのと、阿吽の違いのみで、一見同じに見えるから・・・(-_-;) そうです!言い訳です(笑)。
彫刻の紹介が続いたついでに「威徳殿」と書かれた拝殿額を取り囲む「双龍」も、さすがの迫力。
『御真躰』が奉安され祭壇はこの奥にあるようで、鴉天狗の像が屹立しているのが見えます。 ちょうどシャッターを押した瞬間受付の方が横切った為、その部分は削除して修正、故に若干の違和感はご容赦を(^^;)
見所が多すぎて、簡単に一つにまとめられないのはいつもの事(^^;)、と言うことで続きは明日。
参拝日:2011年11月16日&2016年12月14日