大田市波根町に境内を構える浄土宗寺院「寿智山玉亀院:長福寺(ちょうふくじ)」。『阿弥陀如来』を本尊とします。
「後奈良天皇の天文九年(1540)、三休上人によって開基。三休上人と毛利元就公との歴史的な出会いのあった、エピソードをもつ寺院として知られている。」公式HPより
大田市では最後となる鏝絵。長福寺の経蔵:褄部分に作者不明の「波と龍」「竹林に虎」が残されています。
明治時代の制作と言うことしか分かっていませんが、薄墨と白の絶妙な取り合わせは見事! 年月が彫刻の隙間に程よく入り込んで、龍も虎も生き生きと躍動し見るものを興奮させます。南側妻壁一杯に体をくねらせる「龍」。
その全てを今にも飲み込まんとする波のうねり、水のしぶき。
体の鱗の一枚一枚に龍の生命力があふれ、今この瞬間に出会えたことが奇跡と思える程の感動を与えてくれます。
北側妻壁には「竹林の虎」。妻壁の隅から隅まで、余すところ無く使って描かれています。
体を覆う縞模様、鋭い爪を地面に食い込ませて低く構えた前足、爛々と光る双の目・・鋭い牙。 竹やぶでこんなのに出会ったら、もう覚悟を決めるしかないだろうなと、思わず合掌(^^;)
あまりにも「竹」が写実的で綺麗なので、アップで写してみましたがどうでしょう? これほどの作品を制作した人物が名を残さなかったことが残念ですが・・・・。よほどでない限り、左官の仕事に個人名を入れると言う事は少なかったのだろうと思います。
長福寺の地蔵尊と地元のお地蔵様を集めてお奉りした「地蔵堂」。旅の無事を改めて願って・・・
訪問日:2011年5月16日
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