下郷町弥五島下タ林、南会津東部を流れる阿賀川が形成する渓谷で、大川羽鳥県立自然公園の一角を占める「塔の岪(へつり) 」。
Wikipediaによれば「一帯は第三系凝灰岩、凝灰角礫岩、頁岩などが互い違いになっており、その軟岩部が長年の歳月による侵食と風化の作用によって形成された柱状の断崖」と紹介されています。会津地方の方言で「険しい断崖」を意味する「へつり」。太古百万年の歴史が創り出した「へつり」。岩壁が浸食され、その岩壁が塔のように並んでいることから「塔のへつり」と呼ばれるようになりました。
全長200メートルにわたって、大規模な奇岩が整列し、主なものには屏風岩、烏帽子岩、護摩塔岩、九輪塔岩、櫓塔岩、獅子塔岩、鷲塔岩などがあり、これらの岩を巡るように通路が彫られています。しかし経年による崩落等のため、吊橋を渡している舞台岩周辺以外は立ち入り禁止となっています。
総体的に橋は苦手で、中でも吊り橋は泣くほど怖い私ですが、一期一会のこの絶景の為なら、ありったけの根性を振り絞る値打ちは充分にあります。
藤見橋を渡って左の階段を下がり、岩肌に沿って歩くと石段があり、その石段を登った先の岩穴に「虚空蔵菩薩」が祀られています。
岩屋の奥には沢山の積み石が並べられています。誰がどんな願いで・・どのような想いを抱いて小さな石を積み上げたのか、その向こうにある人の願いを思う時、私もまた手を合わせずにはいられない気持ちになるのです。
赤い幟の先にある石段を上ると、大同2年(807)、坂上田村麻呂による創建と伝えられる虚空蔵堂があり、運慶が一刀三礼にて彫ったといわれる『虚空蔵菩薩』が祀られています。「智恵を授かる仏さま」・・さて、私たちが望む知恵とは何でしょう。
お堂を後にして再びへつりの下に立って見上げる。どれほどの力がこれほどの世界を作り上げたのか、気の遠くなる歳月などという、そんな生易しいものでは無い。そんな人知を超えた世界の中に立つ自分の存在を改めて確信するのです。
まるで巨大な獣の横顔、何と優しく何と雄々しい。それは例えばこの世とあの世とを行き来できるという伝説の聖なる獣。
鎌首を緑の水に預けてまどろむのは長首の竜。夢の中の竜は、きっと空高くを飛んでいるに違いない。それとも水底深くを駆け巡っているのか?
悠久の時が作り上げた不思議な道は、もう既に人の通る道では無くなった。けれどその道は、濃い緑の木々に包まれて確かに存在し、昔なじみの風だけが何のためらいもなく吹き抜けていく。
崩落の為に立ち入り禁止となった場所。この岩が何と呼ばれていたのか分からないけれど、きっと勇ましい名前が付けられていたのでしょう😊。
名残惜しさはどんな場所にだって付きまとうもの。そうして名残惜しさの分だけ、二人の思い出は膨らんでいく。この日の光景をきっと忘れない。私にカメラを向けるあなたの笑顔を、絶対に忘れない。
藤見橋を渡り終えたら、この不思議な世界ともお別れ。こんなに素敵な場所に連れてきてくれて有難う。立ち去りがたい想いは何時だってついて回るもの、ここだけが特別じゃない。それでもやっぱり、とびっきり特別な場所になったのは確か。
訪問日:2015年7月3日
おはようございます!
日本とは思えない景色ですね。
こんな素敵な場所もあるのてすね。
「こんなに素敵な場所に連れてきてくれて有難う。」
大好きな旦那様に貴方は感謝します。
私は貴方々お二人に、同じ言葉を贈ります。写真でこれだけの迫力ですから、実際にその場に立つ感激は凄いでしょうね。
切り開いて、大切に守ってきたご先祖の方々の思い考えると、自然と頭を垂れて手を合わせたくなるでしょうね。
絶景とはまさに
このような景色を指すのでしょうね
叶うならもう一度
同じ場所に立って水に映る自分の姿を見てみたいです
人知を超えた不思議な世界を
私たちは自分の目で見てみてきました
拭き渡る風のささやきを
僅かに揺れる水の波紋が奏でる音を
自分の耳で聞いてきました
深く深く
記憶の中に刻み込まれた景色は
目を閉じれば今も鮮やかに蘇ってきます