心のオニを描く画家・しの武、猛烈な人生を生きてきて笑顔が輝いている
「人に歴史あり」とはよく言われるが、心のオニを描く注目の画家・しの武の魂を揺さぶる自伝的エッセイ『もう、なげかない』(小学館刊)を読んで、その過ごしてきた猛烈な人生には敬服する以外にはない。
「生後すぐ母に捨てられ、ヤクザだった父は刑務所へ。養護施設で育ち、16歳で出産。33歳でおばあちゃんに。生きるのに精一杯だったどん底の人生で見つけた人間の本当の幸せとは?」と表紙に書かれている。
中学三年生で子どもを産み、その息子は高校一年生で親となる。で、33歳でおばあちゃんとなる。そんな著者は画家となり、2006年には「オニの家」をオープンさせる。そして今では、様々な所での講演活動も続けている。本の表紙にある著者・しの武の笑顔はとてもステキに輝いている。
そんなしの武は言う。「泣き暮れる思いをしたまま、『私の人生、失敗だった』と嘆くか、『これも経験』と捉えるかで、明日は変わります」と。大変な人生を生きてきた人の言葉だけに、心を打つ。
私が心に残った、この本に書かれた一節を紹介する。
笑っているからといって、幸せとは限らない。
泣いているからといって、不幸とは限らない。
ひどいことをしてからといって、悪人とは限らない。
優しいからといって、善人とは限らない。
人にはそれぞれの背景があるのだから。
中学三年生が描いた「私の理想の部屋」、その頃に戻ったらと考えたりした
過日、赤磐市の中央公民館を訪れたら、「中学校美術展」を開催していた。素敵な企画だ。様々な展示の中に、中学三年生の「私の理想の部屋」があった。様々なお部屋が描かれていて感動した。
こんな私にも、恥ずかしながらその時代はあった。まさに、紅顔の美少年の頃だ。誰も知らないから、こんなことを平気で書ける(笑い)。
ともあれ、その頃の私だったら、どんな部屋をイメージするだろうか、少しだけ考えてみた。全く思い浮かばなかった。もう遠い昔故、致し方ない。もう一度、あの頃に戻ったら何をしたいだろうか。そんなことを思ったりもした。やはり、トシ故だ。