佐藤愛子さん初の語り下ろし『それでもこの世は悪くなかった』を読んだ
このところ、相変わらずカフェで過ごしているが、最近は「読書ルーム」ではなく、「思索ルーム」となっていた。あれこれと課題に直面し、いろいろとメモしながら、考える時間が多かった。
でも、今週は元の「読書ルーム」に戻っている。決して課題が解決したわけではないが、いささかお疲れモードで心静かに読書という気分だ。
八束澄子さんの『明日のひこうき雲』を読み終えて、今読んでいるのは、高島易断で「暴れ猪」の佐藤愛子さん初の語り下ろし『それでもこの世は悪くなかった』(文藝春秋刊)。語り下ろしだけ、とても読みやすい。
題名に引かれて読んだが、佐藤さんのご自身の生きてきた道を語っているのだが、まさに暴れ猪さながらに何とも豪快。とても楽しく読ませてもらった。
二度目の夫が残した2億円余の借金(昭和40年代のこと)を全て全て裏書きして引き受けて、返済されている。その時の「引き受ける気持ち」がスゴイ。
「借金取りが家に来ますでしょう。そして紙切れをこちらへさしつけて、血相を変えてグチャグチャ言ってくる。すると、『何だこの干支日は、たかがカネのために顔色を変えて、恥ずかしいとは思わないのか』と言いたくなるんです。でも、そんなことを言う資格はないから、情けないやら腹が立つやらで、『うるせえな。ハンコ押しゃいいんでしょ、ハンコ押しゃ。押しますよ』」。
この借金体験を書いた佐藤愛子さんの直木賞受賞作『戦いすんで日が暮れて』(昭和44年受賞)を、今度読んでみようと思っている。
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