tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

QC活動は残業

2008年06月01日 11時54分25秒 | 労働
QC活動は残業
先日トヨタ自動車で、QC活動を残業と認めるという方針が決められたと新聞に出ていました。認めるのが当然という意見が多いようです。

皆様もご承知でしょうが、日本のQC活動には戦後の長い歴史があります。
 QC(quality control)、日本語では品質管理ですが、これが生まれたのはアメリカです。アメリカにはZD(zero defects=無欠点)運動などというのもあり、戦後の日本人が憧れたアメリカの電化製品などの素晴らしさを支えていました。
 QCは統計的に、欠陥品(不良品)の出来る状況を分析し、原因を突き止め、原因を正して不良品を減らしていくという手法で、日本に教えてくれたのは、デミング賞で有名なウィリアム・エドワーズ・デミング博士で1950年のことです。

 QCには、「パレート図」「特性要因図」などの「7つ道具」という統計的手法があり、アメリカではQCオフィサーがそれを勉強して、現場の従業員を監督するというのが普通だったようです。

 日本に持ち込まれたQCは全く変質しました。日本では、現場の従業員全員がQCの「7つ道具」を学び、現場ごとにグループ(QCサークル)を作って、品質管理を現場従業員の全員の協力作業にしてしまったのです。これが日本製品の品質を飛躍的に高めたといわれます。

 こうしてQC活動は、職場の自主活動として始まったのです。自主活動ですから、昼休みや休憩時間、就業の前後など、ちょっとした時間を割いて意見交換や連絡調整が行われるというのが一般的で、正式な業務とはみなされず、企業は相応の手当などを支払って、自主運営に任せる形でした。学者は、「これは職場レベルの経営参加だ」と日本的経営の優れた点と高く評価しました。

 QC活動が残業になるということは、それが自主的な活動ではなく、企業の業務命令によるものだと規定することになります。QCサークル導入の初期の頃とは、世の中がいろいろと変わったからでしょう。しかし何となく心配になるのは、業務命令に変化したQC活動の中で、自主的活動という人間の主体的な意識と行動(これが創意工夫に最も必要)が、受動的な「義務感」に変質してしまわないかということです。何か良い方法はないものでしょうか。