tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済低迷の理由:その1、コスト高

2010年01月23日 14時25分14秒 | 経済
日本経済低迷の理由:その1、コスト高
 経済発展のための3要素である労働力、技術、資本蓄積について日本経済の状況を前回までいろいろ考えてきました。考えてみれば見るほど、日本では
① 勤勉で教育水準の高い労働力
② 世界に誇る技術水準の高さ
③ 1400兆円(GDPの3年分)といわれる個人金融資産の蓄積
といった形で、ほぼ完全にそれらの要素はそろっていると考えられるのに、何故長期にわたって、こんな低迷状態にあるのでしょうか。前回はその疑問を提出させていただきました。

 今回の新政府の「10年所得4割増」の新経済成長戦略の実現のためにも、この日本経済不振の原因を解明しその解明の上に適切な政策を打つことが必要と考えるわけですが、原因と考えられるような点をひとつひとつ見て行きたいと思います。

 先ず最も気になるのは、日本経済が未だに「高コスト経済」であるということです。
 従来から日本の得意の分野はいろいろあります。そして、製品の品質は国際的に見ても、日本製の評価は定着しています。しかし残念ながら、どうしても価格が高いようです。自動車のような完成品から液晶などの電子部品、さらに金型、問題になっている航空業界まで、最近は世界のいろいろなところから追い上げられて苦戦しています。

 苦戦の大きな理由は「価格競争」が厳しいということでしょう。品質、性能では引けは取りませんが価格が高い、そして価格が下げられない理由は「コスト高」です。
 しかし原材料などの価格は、今では世界中そんなに違うわけではありません。違うのは日本の国内コストで、これはほとんどが人件費です。

 では日本が毎年賃上げをして、人件費を引き上げて、コスト高にしているのかというと、全くそうではありません
 どこの国でも、賃金水準は毎年上がり、その結果多少のインフレです。その中で日本は、毎年賃金水準が下がり物価も下がるデフレの国です。
 にも拘らず日本はコストも物価も高い国なのです。この20年、日本のように賃金も下げ物価も下げ続けて来た国は、多分無いでしょう。なのにコスト高、物価高・・・・・。

 理由は何か、もうお解りになった方も多いと思いますが改めて次回検討したいと思います。