日本経済低迷の理由:その2、円高デフレ
前回、日本は、徹底してインフレを起こさない努力をしてきたのに、世界トップクラスの物価高の国になってしまい、年間も物価とコストの引き下げに苦労してきましたが、未だに物価高の国から脱出できないと書きました。
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その理由はということですが、答えは極めて簡単で、「円高」です。
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教科書が教える国際競争力喪失の原因というのは、国内インフレによって物価高をもたらし競争力が失われるといったシナリオが普通です。
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国際的な資源価格の高騰などによる輸入インフレの場合は、世界中共通ですから、特定の国だけ競争力が弱くなるということはありません。但し、経済運営に失敗して、輸入インフレを国内インフレに転嫁してしまうと、国際競争力は弱体化します。
1970年代の石油危機の際に、主要国はほとんどその失敗をやりました。その結果スタグフレーションに大変苦しみました。
この失敗を、賢明な労使の話し合いで 回避し、世界一の経済パーフォーマンスを挙げたのは日本です。
1981年の主要国のインフレ率と失業率(%)<o:p></o:p>
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インフレ率 |
失業率 |
日本 |
4.4 |
2.2 |
アメリカ |
10.4 |
7.5 |
イギリス |
11.9 |
8.4 |
西ドイツ |
5.9 |
5.5 |
フランス |
13.4 |
7.6 |
イタリー |
18.7 |
8.4 |
(各国統計)
その結果、日本が当時「ジャパンアズナンバーワン」と言われたのはご承知のとおりです。そしてこのサクセス・ストーリーを、一朝にして烏有に帰せしめたのが、プラザ合意による円高です。
1985~87年にかけて円が$1=¥240→¥120に切り上げられた結果、忽ちにして日本は、物価もコストも賃金も、世界一高い国になりました。
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国内における労使のインフレ回避努力は、円高の前には全く「無意味」なのです。 さて今年の春闘はどうでしょうか。