tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円高を止める新機軸の経済政策-1

2011年01月26日 11時06分45秒 | 経済
円高を止める新機軸の経済政策-1
 円高について、原因、影響、対策など、いろいろ書いてきました。
 このブログは本来経営問題を中心にと考えていましたが、何時、どんな円高が来るか解らないといった経営環境では、中・長期の経営計画など立てられないという実態の下で、円高問題を本気で取り上げなければならなくなった、というのが、これまでの経緯です。

 円高については、いろいろな論評があります。しかし無責任な発言は別として、真面目に論じれば論じるほど、具体的な発言や提言が難しくなるというのが現状ではないでしょうか。
 ここでは何とか、確りと筋を通した対応策が可能かどうかも含め、生真面目に検討したいと思っています。

 当面する問題は、何故、世界で日本だけが、こんなに円高になるかです。ブレトンウッズ体制 の下での$1=¥360から今は$1=¥82あたりです。いつも例えるゴルフのハンディ で言えば、36から8のシングルになりました。こんな国は他にありません。

 しかも、プラザ合意以降、常に実力以上のハンディを貰っているのです。その結果、世界で日本だけが長期デフレに苦しんでいるというのも確り見てきました。

 では、誰がハンディ(為替レート)を決めているのでしょうか。問題はここです。ハンディ委員会は「ありません」。 国際投機資本の思惑が決めているのです。そして迷惑なことに国際投機資本の行動原理は「キャピタルゲイン の極大化」です。

 これはインカムゲイン(経済成長)を追求する実体経済の原理とは全く異なるもので、バブル経済(今回の「サブプライム・リーマンショック」もそうです)や為替操作・為替引き下げ競争の歴史が示すように、実体経済を破壊したり、世界戦争にも繋がりうる資本主義の鬼子 です。

 ブレトンウッズ体制は、こうした世界史の失敗を防ぐために、アメリカが主唱して生まれたものですが、その後アメリカ自身が経済運営の節度を守りきれずに「双子の赤字」の国になり、「ニクソンショック」で放棄してしまいました。

 こうして今の世界経済は、国際的に安定した経済価値基準がないまま、国際投機資本の思惑の波の間にまに、漂流しながら不安定なビジネスを続けざるを得なくなっています。

 すでに述べてきましたように、こうした変動相場制のもとでは、経済運営に節度のない国の通貨は安くなり、経済運営の節度を保つ国の通貨は高くなります。
 こうして、「 万年黒字国」の日本は常に実力以上の円高を強いられることになっています。